(1)ソーシャルメディアを通じたプライバシー情報の漏洩を防止するために、メディアに発信しようとするコンテンツ(日本語文章)を検査してプライバシー情報の漏洩を検知する技術に関し、平成25年度までの開発内容を大幅に改良した。23年度までの技術は、プライバシー情報の漏洩検知と、漏洩でないものを検知する誤検知のバランスにおいて、誤検知の防止を重視していたが、本技術の目的を考慮すると、漏洩検知の向上の方が重要である。そこで、漏洩検知率を高め、誤検知についてはユーザの負担とならないインターフェースを設ける手法を開発した。12人の被験者の投稿文、各1000件を用いて改良技術を評価した結果、平均87%の検知率を得た。改良技術の検知した投稿のうち10%は、人間が気付かない情報漏洩であったことから、本技術は人間の能力を補うことができることが明らかになった。
(2)上述したプライバシー情報の漏洩検知および、24年度に開発した注目者の投稿文を発見する技術の検討結果に基づき、ソーシャルメディアの投稿文におけるプライバシー情報の処理モデルおよび外部情報が個人特定に与える影響を明らかにした。本モデルは、プライバシー情報という曖昧性、個人性の高い情報を履歴書等のキーワード集によって簡明に定義する仕組みと、投稿文におけるプライバシー情報の多様な表現と履歴書等のキーワードとを照合する仕組みから成る。Web検索を用いてインターネット情報の外部知識を利用することで、多様な表現とキーワードの間接的な照合を可能にする。
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