研究課題
平成25年度は、アクチュエータ技術の研究開発を進めた。環境観測では、センサーによる データ取得も重要であるが、取得データに基づいて何らかの制御を行うことで、有害鳥獣への対策などが期待できる。具体的なフィールドとして、信濃川水系のアユの漁場(簗、と呼ばれる)や鮭が遡上する魚道で問題となっているカワウやサギによる捕食に対して、センサーネットワークによる解決を図った。これらのトリによる捕食は内水面漁業への経済的損失、河川の生態系への悪影響などから、近年特に問題が大きくなってきている。本研究開発では超音波センサーのレーダ化によってトリを検出し、検出した場合には音や光による威嚇を試みる。カワウやサギは賢く、単一の威嚇では慣れて(慣化)しまって効果が長続きしない。そこで、プログラマブルなシステムによっていくつかの威嚇を行うことが有効であり、センサーネットワークの応用として期待できる。超音波センサーを複数個並べてレーダを構成することで、トリのいる方向を把握し、そこに向けて音や光(および本学機械系研究室で開発中の氷銃)で撃退する。複数の超音波センサーを同時に使うとセンサー間で干渉を起こすため、正確にタイミングをあわせてセンシングを行う必要がある。そこで、ZigBeeネットワーク内の複数ノード間でタイミング同期を行う方式を考案した。同期方式がない場合は、ノード間のタイミングはドリフトしてしまうが、考案方式によって超音波センシングに十分な精度(2ms)の同期を実現した。センサーネットワークにおいて、複数のノード間でクロックを合わせるという利用例は少なくないと想定される。従来は各ノードにGPSを付ける、NTPを使うなどの方策であったが、本研究開発で実現した方式は、付加装置もインターネット接続も不要であり、また、ノードの処理能力も小さくて良いため、広く応用できると期待される。
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電子情報通信学会通信ソサイエティマガジン
巻: No.26 ページ: 102-110
電子情報通信学会論文誌
巻: Vol.J96-B, No.10 ページ: pp.1186-1197