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2012 年度 実施状況報告書

高い匿名性と安全性を有する家庭向けオーバーレイネットワークシステム

研究課題

研究課題/領域番号 23500085
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

斎藤 彰一  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70304186)

キーワード匿名通信 / オーバレイネットワーク / ネットワークセキュリティ / プライバシー保護 / 分散ハッシュテーブル
研究概要

本年度は、昨年度までに検討を行ったIDベース暗号を用いた分散ハッシュテーブル(DHT)方式について論文を発表した。本手法により、ディレクトリサーバによる匿名性の低下を抑制する手法が完成したと考える。また、ノード離脱対策として、IDベース暗号に基づく方式を開発し発表を行った。本方式は、IDベース暗号を用いることで、ノードの検索を行うことなしに離脱したノードの代理ノードとの間で鍵共有を行うことが可能である。
さらに、匿名通信手法の基盤となるDHTについて、その安全性の検討を行い、匿名性を保ちつつDHTに参加するノードの攻撃(正常なノードの存在を隠す等)を防ぐ方式を開発した。本方式を、情報処理学会研究会において発表を行った。この方式により、匿名性を保ったまま安全に参加ノードを検索することが可能となる。本方式は、次年度に国際会議に投稿する予定である。
また、従来の匿名通信とは異なる新たな方式として、WWWサーバの管理者による利用者の行動追跡を困難とする通信方式の検討を開始した。これは、研究計画における新しい軽量な匿名通信方式の研究に位置づけられるものである。本方式は、完全な匿名性ではなく、ユーザの行動がWWWサーバ管理者に追跡されて特定されることによるプライバシーの低下からユーザを保護する通信方式である。このため、完全な匿名性は保障されない。このため、何らかの問題発生時には、その送信者を特定できる方式である。その一方で、家庭や携帯端末での利用を想定して軽量な通信方式となる。本方式は、次年度に発表を計画している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度よりの検討が完了した事項から、順次実装を行い国内研究会での発表に進んでいる。提案するDHT方式について、ノードを管理するサーバの分散化が負荷軽減および安定性の向上のために必要であるため、この実現が課題である。
さらに、計画にある、新たな手法の検討にも着手している。この手法は、家庭環境におけるNAT利用が問題とならない。さらに、匿名性の不正利用においてその通信者を特定しつつ、プライバシーを保護することが可能である。今年度は、この方式の実現が重点課題となる。
しかし、国際会議への投稿が進んでおらず、研究の成果発表という点においては、予定より遅れていると考えている。しかし、研究全体を見て、計画は順調に進んでいると考えている。

今後の研究の推進方策

今年度に研究を開始した新たな通信方式の充実を主に行う。プライバシー保護を可能としつつも、不正利用においてはその送信者を特定可能にする方式である。また、家庭環境やスマートフォンなどの携帯端末での利用も容易である。しかし、インターネットサービスプロバイダによる協力が不可欠であるため、実運用が課題となると思われる。そこで、実験用のネットワークシステムを構築し、実験環境において性能測定等を行い、提案方式の有用性を明らかにする。この方式は、早期に学会発表を計画している。
また、匿名性と安全性を備えたDHTについて、管理サーバの分散化の実現を行い本方式を国際会議およびジャーナル論文に投稿する計画である。

次年度の研究費の使用計画

持ち越しの主な理由として、国際会議への投稿の遅れがあげられる。国際会議参加のための予算が持ち越しとなっている。研究計画そのものには大きな変更はないが、論文執筆を早期に行う必要がある。
次年度では、新提案の通信方式のため、新方式に要するパソコンやネットワーク機器を主に購入する。これらは、従来からの実験環境と合わせて利用する。さらに、国際会議やジャーナル論文のための経費を計上している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 匿名通信におけるディレクトリサーバを用いないノード管理方式2012

    • 著者名/発表者名
      田中寛之,齋藤彰一,松尾啓志
    • 雑誌名

      情報処理学会論文誌

      巻: 53 ページ: pp. 1558-1569

    • 査読あり
  • [学会発表] DHT におけるノード検証手法と匿名通信への適用2013

    • 著者名/発表者名
      中井俊作,野々山正峰,齋藤彰一,松尾啓志
    • 学会等名
      情報処理学会 コンピュータセキュリティ研究会
    • 発表場所
      東京都
    • 年月日
      20130314-20130315
  • [学会発表] ノード結託による通信路漏洩を防止する匿名路修復方式の提案2012

    • 著者名/発表者名
      八田望,齋藤彰一,松尾啓志
    • 学会等名
      情報処理学会 コンピュータセキュリティシンポジウム 2012
    • 発表場所
      島根県松江市
    • 年月日
      20121030-20121101

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公開日: 2014-07-24  

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