研究課題/領域番号 |
23500088
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
菅原 一孔 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90149948)
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研究分担者 |
川村 尚生 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10263485)
笹間 俊彦 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80362896)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | モバイルエージェント / コンテンツ配信システム / 分散管理 / 自律的動作 |
研究概要 |
本研究計画は,これまで研究を進めてきたモバイルエージェント技術に関する研究成果をもとに,動画像などの大容量のコンテンツを配信するための,高速なエージェントの移動を提供するフレームワークを開発することを目的とする.同時に,一部の計算機に不具合が発生した際にも,自動的,自律的にシステム全体が復旧する仕組みの開発も目指す.自律分散型コンテンツ配信システムでは,サーバ計算機に一極集中していた負荷を分散させることが可能となり,耐障害性や柔軟性に富むシステムを安価に構築することも期待している. 我々は従来からモバイルエージェント技術に関する研究を積極的に進めており,その研究成果は学術論文として,あるいは国際会議などの場を通して多数報告してきた.そして,これまでに実施してきた研究により,モバイルエージェント技術を積極的に利用したコンテンツ配信システムの有用性は確認している.すなわち複数の計算機にコンテンツを分散配置することで,一部の計算機に負荷が集中することなくコンテンツ配信を行なうことができること,ならびに一部の計算機に不具合が生じてもシステム全体が停止してしまうことなくコンテンツ配信サービスを提供し続けるシステム構成が実現可能であることなどを確認している. 本年度は大容量のコンテンツを配信するシステムを実現するために,当初の研究計画にのっとり,障害発生時にエージェント群が自律的にシステムの復旧に当たる仕組みの開発を主に手掛けた.その結果,元コンテンツを保持するエージェントと同様にそれらのバックアップエージェントをネットワーク上に分散的に配置し,障害が発生した際にはそれらをもとに,システムの復旧を自動的かつ自律的に行う手法を開発することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績概要でも述べたとおり,本年度は障害発生時にエージェント群が自律的にシステムの復旧に当たる仕組みの開発について研究を進めた.その結果,元コンテンツを保持するエージェントと同様にそれらのバックアップエージェントをネットワーク上に分散的に配置し,障害が発生した際にはそれらをもとに,システムの復旧を自動的かつ自律的に行う手法を開発することができた.これは,当初からの研究計画に沿ったものであり,同時に今後本研究を進めてゆく上で基礎的かつ不可欠な技術といえる.すなわち,コンテンツを保持するエージェントが何らかの原因により消滅するなどすることは,コンテンツ自身の消滅を意味しその管理は大変重要なものである.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画2年目の平成24年度には,研究計画に沿い2つ目の項目である,計算機間をモバイルエージェントが高速に移動する仕組みの実現に関する研究を進める. これは言い替えると,高速なモバイルエージェントの移動を提供するフレームワークの開発を目指すものである.上述のとおり,複数の計算機上にコンテンツを分散管理することで,1つの計算機への負荷の集中を避けることができる.しかし,動画像などの大容量コンテンツの場合には,たとえそれを複数のエージェントに分割しても,1つ1つのエージェントのサイズは大きくなってしまう.このため,各エージェントの移動の高速化が望まれる. 本研究課題では,この問題に対しては,エージェントフレームワークへエージェントのキャッシュ機能を導入することで解決を図る.キャッシュ機能として一般によく知られているものに,計算機システムが補助記憶装置との間でデータの授受を行なう際のものがある.しかしエージェントシステムに同種の機構を導入することが可能とは限らず,ここではエージェント独自のキャッシュ機構の考案を図る.その際に,エージェントの保持内容の変化に伴ったキャッシュ内容の更新や,キャッシュの保持期間の設定がシステム全体の特性への影響が大きいと考えられることから,この点を念頭に置いた開発となる.
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次年度の研究費の使用計画 |
現在までの達成度の部分で述べたとおり,本研究により当初の計画のとおり研究成果を得ている.しかし,それらが得られた時期が当初参加を予定していた国際会議への論文投稿時期と合致せず,計画と参加費や旅費等の差額が発生じたため当該研究費が生じた. 本年度の研究は上述の通り,昨年度の研究成果をもとにキャッシュ機能を導入して計算機間を,モバイルエージェントが高速に移動する仕組みの実現に関する研究を進める.また,昨年度の研究成果や本年度の研究成果を,学術論文や国際会議に参加して積極的に公表してゆく.それらの研究を遂行するために,計算機部品をはじめとする消耗品や,学術論文投稿料,国際会議参加費あるいはそのための旅費等に当該研究費を使用することを計画している.
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