研究課題
MANET (mobile ad-hoc network)やVANET (vehicular ad-hoc network)などの移動無線端末で構成される無線マルチホップネットワークは,無線媒体を用いた通信であり,端末がそれぞれ任意に移動することからリンク品質の時間変化が大きい.本最終年度は,1.これまでに提案した無線マルチホップネットワークにおける経路近傍端末による確率的再送制御方式について,既存の経路制御プロトコル二つ(AODVとAOMDV)と組み合わせた場合の性能を,車車間通信の移動モデルで評価し,論文として公表した.2.無線マルチホップネットワークで生じる同一フロー内でのパケット衝突を低減する方法を提案し,学会発表した.1.経路近傍端末による確率的再送制御方式(以降,提案方式)は,データリンク層で行われる通常の再送制御に加えて,そのリンクの伝送端末と受信端末のどちらにも近い端末が伝送端末より先に再送する方式である.この再送を確率的に行うことで,複数の近い端末が存在するときに衝突する可能性を減らす.提案方式を,経路制御プロトコルAODV(オンデマンドに経路を構築するもの)とAOMDV(複数経路を同時に構築するするようにAODVを拡張したもの)のそれぞれと組み合わせた場合について,車車間通信の移動モデルで評価した.いずれの経路制御プロトコルと組み合わせた場合においてもパケット到達率を改善できること,シミュレーションした条件では提案方式で用いるビーコンの送信周期は5秒から10秒程度がよいことが分かった.2.無線マルチホップネットワークでは,経路上の連続するリンク間で同一のTCPフロー(UDPも同様)内のパケットが互いに衝突することがある.このようなフロー内での干渉を低減すべくTCPパケットをデータリンク層で転送する際のタイミングを制御する方法を提案した.端点のノードでは連続する伝送の間に遅延を挿入し,中継するノードでは受信後直ちに次のノードへの伝送を開始する方法とした.
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Journal of Computer Science
巻: vol. 9, no. 7 ページ: 905-921
10.3844/jcssp.2013.905.921