研究課題
本研究では、不安定な通信環境下でも確実なセンサ情報の取得ができるために、複数基地局(シンク)の存在を前提とし、各センサノードがセンシングデータを搭載したパケットを,どの基地局に、どの経路を使用して送達するべきかを決定する自律分散型ジオメトリックルーティング法を考案した。また、それに先立ち、同条件で最適データ転送経路を見いだすことが可能な0-1整数線形計画法に基づく定式化も行った。さらに、本研究の最終適用先である災害現場監視用無線センサネットワークを想定し、複数の赤外線(IR)センサの反応パタンから、観測領域内にいる人の数と各人の移動軌跡を自動推定するアルゴリズムの開発も並行して進めた。本年度は、上記アルゴリズムの実装基盤となるセンサノードの開発を中心に行った。昨年度一次試作したセンサノードを改良し、低消費電力と小型化を図った。具体的には、搭載している低性能な16bit CPUでは、その処理が困難な複数のセンサデータの処理を扱う省電力FPGA(Field Programmable Gate Array)を搭載し、サンプリングレート2KHzで取得したセンサデータでも処理可能とした。これは、センサノードに搭載したCPUでは処理出来ないデータ量であり、しかもFPGAの消費電力は、当該CPUのそれよりも小さい。また、試作したセンサノードの機能を容易にカスタマイズ出来るように、近隣センサノードの存在の有無や、それらの状態などを取得する関数ライブラリを用意した。ユーザは、それら関数ライブラリを呼ぶ形で、周囲の環境によってセンサノードの振る舞いを動的に変更するアプリケーションプログラムを容易に開発できる。本開発環境を用いて、前記したアルゴリズムの実装を試み、基本動作を確認した。
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