研究課題/領域番号 |
23500098
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
中松 和己 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (60227874)
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研究分担者 |
渡辺 尚 静岡大学, その他の研究科, 教授 (90201201)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | センサーネットワーク / 推論 |
研究概要 |
農作物栽培におけるセンサー測定データと人間の経験知識との融合推論機構の構築を研究目的に平成23年度から平成24年度前半にかけては付加価値の高い農作物を栽培し、センサーネットワークを導入・活用している農家、農業試験場など1,2か所を選定し、センサー測定データの記録及び栽培作業の意思決定に関するデータ(例えば、どのようなセンサーネットワーク情報や今までの栽培経験知識などから収穫時期を決定したとかの情報)提供の協力依頼する。さらに、センサー測定データと農作物栽培における農家の経験知識データの分析を行うことが研究目標であったが、実際にセンサーネットワークを導入し、測定データ及び農作物栽培者の経験知識を提供してくれる適当な農園がみつからず、平成23年12月になり協力を得られる農園として兵庫県播磨町にあり野菜の水耕栽培を手掛けている(株)兵神機械工業の農園が見つかった。しかし、この農園ではセンサーネットワークシステムが導入されておらず、この農園の協力のもとに基本的なセンサーネット(気温、水温、湿度、照度の測定データ)を導入しデータ取得をすることになった。時期は平成24年度5,6月の予定である。当初の研究遂行予定よりは遅れているが、対象とする農作物が成長サイクルの短いホウレン草となったことにより、データ取得期間が短くて済むという利点も生まれた。一方、センサー測定データと人間の経験知識との融合推論機構の基礎理論となるパラコンシステント論理プログラムEVALPSN(代表者中松の提唱)の展開とその知的情報処理システムへの応用に関しては研究成果を国際会議にて発表した。さらにEVALPSNの展開・応用に関する論文が国際学術誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基礎理論EVALPSNの目的とするシステム構築を目指した展開などについては達成された。しかし、実際に農作物栽培においてセンサーネットワークを導入している農園、農業試験場などでセンサーによる測定データ、農家の経験知識データを提供してもらえるところを代表者(兵庫県立大学)、研究分担者(静岡大学)のいる兵庫県、静岡県などさがしたが、適当なところが見つからなかった。農作物栽培環境の測定データが提供可能なところで見つかったのは、野菜類を中心に水耕栽培を行っている兵神機械工業(株)の農園であった。しかし、まだセンサーネットワークが導入されておらず、栽培環境情報(気温、湿度、肥料濃度など)のセンサー測定は自動化されておらず、連続した測定データが得られない状況であった。これが平成11年12月中旬であった。今後は、センサーネットワークとその測定データ自動記録装置などを導入し、センサーデータを連続して取得予定である。農作物栽培者の経験知識データの取得という点では、農作物(主としてホウレン草)栽培における栽培知識については聞き取り調査をし、データを整理している。
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今後の研究の推進方策 |
対象農園、兵神機械工業水耕栽培農園におけるホウレン草栽培部へのセンサーネットワークおよび測定データの自動記録システムの導入を行い、ホウレン草栽培の何サイクルかにわたってセンサーデータを取得する。また栽培者による経験知識も取得し、それらの対立・矛盾立部分の分析を行う。今年度当初はホウレン草の苗の水耕栽培における基本的環境情報(気温、水温、湿度、照度)が測定可能なセンサーネットワークの導入を図る。この部分は申請時には予想できなかった部分であり、実現のためセンサーネットワークの開発及び農業における実装経験を豊富に持つ静岡大学峰野准教授を研究分担者に加え、峰野准教授が中心となりセンサーネットワークシステムの開発導入を行う。可能であれば、センサーの種類を増やし、肥料の消費量の目安となる電気伝導率を測定可能なセンサーも導入しデータを取得する。また、矛盾・対立のより適切な処理システム構築のためにパラコンシステント論理の実用において世界的権威であるブラジル・ポーリスタ大学・ジャイロ・アベ教授からコメントをいただき、センサー情報と人間の経験知識との融合推論システム構築の参考とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度分の残額15,401円はデータ提供協力をしていただく農園が代表者中松の所属所より近く、そちらに出向く旅費が想定していた旅費より少額であったために生じたものである。平成24年度研究費はセンサーネットワーク及び自動データ取得システムの開発実装費用、研究打ち合わせおよび学会発表のための国内外旅費、センサーネットワーク測定データ処理用パソコンなどの物品費に使用予定である。
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