平成25年6月、当該協力ファームのビニールハウスにおいてミニトマト水耕栽培を対象に無線センサーネットワークを導入し、自動にデータ(気温、水温、湿度、照度、電気伝導率)の取得が可能であり、インターネットを経由したこれら取得データの時系列折れ線グラフ表示、記録する遠隔システムを構築したが、8月頃より当該システムによるデータ取得が何らかの不具合により困難となり、センサーネットワーク全体を取り外し、修理を試みたが、修復には時間を要したのと当該ファームにおいてビニールハウス間において水耕栽培作物の移植が行われたこともあって、再度無線センサーネットワークシステムデータ取得システムを導入設置・センサーデータ取得には至らなかった。さらに、ミニトマト水耕栽培においてなされるビニールハウス内作業についての記録も分析したが、肥料の調節とか水量の調整など自動化されている部分が多かったことと、無線センサーネットワークデータが取得された期間が短かったこともあって、農業従事者の灌水などの農作業判断が水耕栽培経験知識を生かしたものかどうか、それがセンサーデータと完全に矛盾するかどうかなどが明確にできなかった。もう一つは栽培されたミニトマトの栽培量が少なく市場取引での価格評価、味評価などがうまくできなかったこともあり、取得された無線センサーネットワークデータだけを使ったSVM(Support Vector Machine)に基づく灌水制御を無線センサーネットワークデータによる灌水判断とし、農作業従事者の栽培経験知識による灌水判断と融合するシステムを構築するには至らなかった。しかしながら、農作業者はセンサーによって得られた各種データ以外にも灌水において日光の当たり具合、日照時間の長さなどを複合的に考慮していることが明確になった。 センサーデータとSVMに基づく灌水システムについては国際会議において発表した。
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