研究課題/領域番号 |
23500111
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
長谷川 孝明 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (00189531)
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キーワード | 歩行者ナビゲーションシステム |
研究概要 |
モバイル機器とインフラ設置機器が協調動作する歩行者ナビゲーション環境の実現に向けて、本年度はモバイル機器・インフラ設置機器が提示する案内文に関する検討を行った。具体的には、まず、インフラ設置機器(キオスク型端末)のみを利用する場合にシステムが提示する案内文と経路の複雑さの関係を明らかにするために、経路の複雑さを表す指標として「経路複雑度」を定義した上で、案内情報の詳細度(=案内文の長さ)の異なる3種類を用いて、埼玉大学構内を移動する実験を行った。案内文の長さは、S(16文字以下)、M(17~39文字)、L(40文字以上)の3種類で、文字数が少なく記憶しやすいが案内情報がやや少ないSから案内情報は十分だが文字数が多く記憶しにくいL、その中間をMとした。実験の結果、案内文の長さは、簡単な経路ではM、複雑な経路ではLを用いることで、目的地到達に要する時間が短く、提示された経路から逸脱する割合が減少するという結果が得られた。次に、モバイル機器とインフラ設置機器の協調動作する際に、前述のインフラ設置機器が提示する案内文をモバイル機器によって持ち運ぶ効果について検討を行い、その効果を確認している。本検討の成果について現在発表準備を進めている。 また、本研究課題を遂行する上で必要な基本事項として、処理方法の異なる三種の歩行者ナビゲーションシステムの比較に関してまとめたものが電子情報通信学会論文誌に採択された(現在発行待ち)。さらに、本研究に関連する空間的心地よさの質に関する論説を1通、電子情報通信学会技術研究報告およびソサイエティ大会でそれぞれ1件ずつ発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「9. 研究実績の概要」で述べたように、本研究課題を通じて、インフラ設置機器単独システム、モバイル・インフラ協調型システムにおける経路複雑度とシステムが提示する案内文の長さの関係が明らかになったことで、性能(ここでは、旅行時間と逸脱率)の良い歩行者ナビゲーションシステムの案内文の生成方法が明らかになった。これらの研究成果は、本研究代表者が目指す「モバイル機器とインフラ設置機器が協調動作する歩行者ナビゲーション環境」を実現する上で欠くことのできない重要な知見を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
モバイル・インフラ協調型歩行者ナビゲーションシステムについて、次年度は、今年度までに得られた知見をもとに協調型システムのアーキテクチャを確立し、それに基づく実験システムの構築および埼玉大学構内における評価実験を行う。また、構築したモバイル・インフラ協調型歩行者ナビゲーションシステムを、埼玉大学構内などの実環境下で運用し、実証実験を実施することにより、システムを導入することで当該空間の歩行者のモビリティに与える影響や効果を検証し、社会普及に向けた知見の獲得を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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