CGでは外観と動きのリアルな表現が重要である。しかしこれらは内部構造に依存する。よってリアリティの増強には物体の微細構造や光学特性が重要である。平成25年度は、最終年度であり残されていた下記の研究を行なった。 CGで描画する対象物体としては人工物、自然物、人体(動物)などであるが、本年度は半透明あるいは反射物体、人体の部分(髪の毛のダイナミックス)、自然物としての光学的特性やダイナミックに関するものを対象とした。また、光に関してはある局所点での光の反射のみでなく、周囲の環境も考慮したグローバルイルミネーションを配慮した。 物体のリアルな表示に関して、光学的効果に関して材質の微細構造を考慮するのが重要である。物体に入射した光は物質中の粒子に多重散乱した結果物体表面から放出される。光の挙動を詳細に計算し、サンプリング手法で照明効果を計算するのが主流であるが、計算によっては異常な輝点を生じるが、その対策方法を開発した。微細構造を考慮した描画は重要である。この方法では繊維の構造を反映し、かつ影の効果を表現するため球面調和関数で反射特性を表現することに実現した。布は面的なものであるが、線状の髪については、そのダイナミックスも重要である。髪の表示には髪の詳細の表示のみでなくダイナミックスもリアリティに重要である。本研究ではダイナミックに関し髪同士の衝突を考慮した動きを表現するようだが、その干渉処理には膨大な時間がかかるので、効率いい方法を開発した。 自然物に関して、冬になると樹木に雨氷がつき、それが美しいい景観をなす。その雨氷に関して物理則にしたがって、木の枝に生じる微細な雨氷のモデリングおよびレンダリング法を開発した。 さらに、人工物であるが、磁性流体はアートに利用できる。磁性流体をCGで表現する特に微細な構造として表面にスパイクを効率よく表示する方法を開発した。
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