研究課題
平成23年度の研究成果は主に以下の三つである.(1)体幹部画像データベースの構築:本研究は岐阜大学病院の倫理委員会の審査を受け,医用画像の使用許可を得た.これまでに使用したCT画像に加えて新たな症例を収集し,1000例規模の体幹部CT画像データベースを構築した.(2)機械学習のための解剖学的構造の獲得:画素単位での真の臓器・組織の分類は現時点で手動で行っている.しかし,ユーザによる手入力の作業を最小限にして,計算機が詳細な抽出を補完するアプローチを取った.具体的には,これまでに開発した臓器抽出のアルゴリズムに,Randomwalkerおよびグラフカットの手法を用いて,専用の手入力システムを開発した.実際にCT画像から肝臓と腎臓領域を手入力した結果,システムの有効性が示された.(3)機械学習と画像検索手法の把握:本研究ではCT画像データベースに基づく学習を利用して,臓器の自動抽出という難題を解決する狙いがある.平成23年度には,既存の学習手法と画像検索手法を改善し,機械学習に基づく高速的臓器位置の自動検出法と位相限定相関法による類似画像検索法を提案した.これらの手法をCT画像から人体の解剖学的構造の一部(心臓,肝臓,左右腎臓,脾臓)の自動抽出問題に適用して,良好な結果を得た. 以上の成果によって,大規模医用画像データベースの学習と類似画像検索に基づく汎用臓器抽出手順の開発を進めるための基礎(データベース,アプローチ)が準備できたと考える.
2: おおむね順調に進展している
計画通りに画像データベースの整備,学習サンプル(人体の解剖学的構造)の準備,関連する学習手法の検証を行った.初期的な検証実験から,研究の発想と方向性にはおおむね問題がないと確認できた.技術的な課題はこれから挑戦するが,そのための基礎つくりが完成したと言える.
研究計画書の通りに研究を進める予定である.研究に関する交流と調査が予想以上に重要であると感じている.他の研究者と議論することによって,無駄な実験を防ぐことが可能であり,時間の節約になる.よって,今後は,学会の参加や発表を積極的に行うことを検討している.
計画通りに研究費を使用する予定である.具体的には,高性能の計算機の購入,画像の保存に必要不可欠なハードディスクの購入に使う.また,国内外の学会で研究成果を積極的に発表し,外部の意見を収集することが研究の正確な進捗にとって最も重要なことであり,一定の旅費の確保が必要である.それ以外の研究費は,印刷費,論文の投稿料などに充てる.
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (13件) 図書 (2件) 備考 (1件)
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