研究課題
平成24年度の研究成果は主に以下の三つである.(1)体幹部画像データベースの構築:本研究は岐阜大学病院の倫理委員会の承認のもとで、これまでに使用したCT画像に加えて新たな症例を収集した。現在約3000例規模の体幹部CT画像データベースを構築した。(2)体幹部CT画像からの解剖学的構造の獲得:基本的にはCT画素単位での真の臓器・組織の分類は手動で行う方針であるが、これまでに入力ツールの開発を含めて事前の準備をした。平成24年度には、本格的に臓器の手入力実験を進めた。具体的に300例のCT画像から4種類の臓器を対象に7人で分担して手動抽出を行い、抽出結果の再現性、精度、および作業効率を定量的に評価した。(3)機械学習と画像検索手法の改善:本研究ではCT画像データベースに基づく学習を利用して、臓器の自動抽出を行うという難題を解決する狙いがある。平成24年度には、提案した機械学習に基づく高速的臓器位置の自動検出法と位相限定相関法による類似画像検索法を改善した。具体的にはシステムの性能を左右する特徴量の工夫と追加を行った。その結果、本システムが対応可能な臓器は従来の5種類から11種類まで拡張し、臓器の位置検出の成功率も大幅に向上できた。以上の成果によって、大規模医用画像データベースを利用した学習と類似画像検索に基づく汎用的臓器の自動抽出が原理的に可能であることを確認でき、提案したシステムは体幹部における複数の臓器領域を高速且つ高精度で抽出することが可能であることが示された。
2: おおむね順調に進展している
計画通りに画像データベースの整備、学習サンプル(人体の解剖学的構造)の準備、関連する学習手法の検証を行った。大規模な画像データを用いた実験の結果から、研究の発想と方向性は正しく、技術的にも実現可能であることを確認した。抽出精度と手順の汎用性の向上ついては課題を残っているが、研究全体の進捗は予想通りであると考える。
研究計画書の通りに研究を進める予定である。効率的に研究を進めるために、時間の節約が一番重要である。特に大規模な画像データに基づく機械学習は非常に時間がかかることから、常に最新の情報を入手し、無駄な実験を防ぐ必要がある。よって、今年度も,学会の参加や発表に通じて他の研究者との交流を積極的に行うことを検討する。
本研究は既存の設備を最大限で活用し、計画より設備に使用する研究経費を節約した。次年度にも必要となる設備を最小限で購入することを計画している。具体的には、老朽化した計算機と画像保存装置の更新、3次元である臓器領域を実際に造形できる3DPrinterの購入を行う。また、国内外の学会で研究成果を積極的に発表し、外部の意見を収集することが研究の正確な進捗にとって最も重要なことであり、一定の旅費の確保が必要である。それ以外の研究費は、印刷費、論文の投稿料などに充てる。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
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