研究課題/領域番号 |
23500122
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山井 成良 岡山大学, 情報統括センター, 教授 (90210319)
|
研究分担者 |
岡山 聖彦 岡山大学, 情報統括センター, 准教授 (20252588)
河野 圭太 岡山大学, 情報統括センター, 准教授 (40397899)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 迷惑メール / 電子メール / DNS / ブラックリスト / ホワイトリスト |
研究概要 |
平成23年度の研究計画では,(a)迷惑メールの収集・分析,および(b)DNSサーバ挙動判定プログラムの設計・実装,の2項目を実施する予定であった.このうち,(a)迷惑メールの収集・分析については,誘導先ドメインに対応するDNSサーバには,任意のドメインに関するAレコードの問合せに対して同一の応答を返し,また誘導先ドメインに関するSOAレコードの問合せに対して応答を返さない,という通常のDNSサーバとは異なる挙動を行うものが多いことが確認された.この成果は国際会議SAINT2011のワークショップであるC3NET2011において発表した.次に,上記の特徴に基づき,(b)DNSサーバ挙動判定プログラムの設計・実装を行った.その際,SOAレコードの問合せに対する時間切れを待たずに挙動判定を行えるようにするため,SOAレコードの問合せを行った直後にその応答を待たずにAレコードの問合せを行う技法を考案し,試作したプログラムに組み込んだ.この成果は国際会議SAINT2012のワークショップC3NET2012に投稿し,採録通知を受け取っている状況である.上記のDNSサーバ挙動判定プログラムの実装中に,多くのURLを含む迷惑メールを受信すると調査対象となるDNSサーバが増加するためオーバヘッドが無視できない程度に大きくなる問題が新たに判明した.この問題の解決策として,信頼できるメールサーバから受信したメールを優先配送する仕組みが有効であると思われるが,信頼できるメールサーバ数が多くなると優先配送処理自身のオーバヘッドも大きくなる危険性がある.そこで,レイヤ3スイッチのポリシールーティング機能を動的に変更することによりこの問題を解決する技法を新たに考案した.また,この成果を情報処理学会第16回インターネットと運用技術研究発表会で発表した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究計画で掲げた2つの項目はいずれも概ね実施することができた.DNSサーバ挙動判定プログラムの設計・実装については,新たな問題も現れたが,その問題を解決する技法を考案できたため,全体としては当初の研究計画に従って概ね順調に進展しているといえる.
|
今後の研究の推進方策 |
平成23年度の研究計画を概ね順調に進展できたことから,今後の研究計画についてもほぼそのまま実施できるものと思われる.ただし,レイヤ3スイッチを利用した優先配送については,提案手法の実用性にかかわることから,今後優先して実証実験を行う必要がある.
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費の主な使途は計画調書に記載の通り旅費である.研究計画立案時にはアジア太平洋地域の迷惑メールに関する国際会議APCAUSE2012に参加する予定であったが,実際には開催されなかった.その代わり国内でレイヤ3スイッチを利用した優先配送に関する研究発表を行ったため,一部の研究費が平成24年度に繰り越されることになった.また,研究代表者が委員を務めていた財団法人インターネット協会迷惑メール対策委員会<http://www.iajapan.org/anti_spam/index.html>が急遽平成23年度末で活動を停止することになったため,提携していた国際会議APCAUSEではなく,別の国際会議での発表を検討する.
|