研究課題/領域番号 |
23500123
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
金田 和文 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30185946)
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研究分担者 |
ライチェフ ビセル 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00531922)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | コンピュータグラフィクス / 大域照明モデル / スペクトル / フォトンマッピング |
研究概要 |
高品位の画像生成技術の大幅なレベルアップのためには、分光分布を考慮したレンダリング手法と大域照明モデルに基づいたレンダリング手法の2つを融合した画像生成手法ならびに従来型のディスプレイデバイスへの高品位画像の表示技術を開発することが重要である。 本研究では分光分布を考慮した大域照明モデルに基づく表示手法の開発を行うことを目的としている。これを実現するために大域照明モデルのフォトンマッピング法を拡張することにより分光分布を考慮した表示手法を開発するアプローチをとる。 フォトンマップとフォトントレースの拡張を行い、分光分布を考慮した大域照明計算を行うソフトウェアの作成を行った。フォトンのもつ波長もフォトンマップに記録するようにフォトンマップを拡張し、レンダリングの際にはフォトンマップを参照して輝度計算点近傍のフォトンのエネルギーと波長成分から分光強度を求めるよう拡張を行った。 フォトントレースの際には、フォトンが物質境界面に衝突したとき物質の分光反射・透過特性に応じて確率的に反射・透過するように拡張を行った。すなわち、物体に衝突したフォトンは入射時のフォトンのエネルギーと波長から反射後のエネルギーと波長を確率的に求め、フォトントレースを再帰的に繰り返す。 単一波長のみをもつ単波長フォトンと、可視光の波長をすべてもつ全波長フォトンの2種類のフォトンを導入し、重点的サンプリングの考え方に基づいてソフトウェア的にフォトントレースの高速化をはかる手法についても検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度の研究計画に基づいて、フォトンマップとフォトントレースの拡張を行い、分光分布を考慮した大域照明計算を行うソフトウェアの作成を行った。さらに、ソフトウェア的にフォトントレースの高速化をはかる手法についても検討を行い、その効果を確認した。 さらに、分光分布情報を持つハイダイナミックレンジ画像のコンパクトな記録方法と、従来型のRGBディスプレイモニタへの高速変換表示手法についても研究・開発を行った。
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今後の研究の推進方策 |
ソフトウェアとハードウェアの両面から計算高速化をはかる手法を開発する。 ソフトウェア的な高速化手法としてフォトントレースにおいて、フォトン反射後のエネルギーと波長を確率的に求める際に、モンテカルロ法の高速化に用いられる重点的サンプリングや層化サンプリングを導入する。これにより、計算結果の分散を抑え、フォトンの数を減らすことにより高速化をはかる。 ハードウェア的な高速化手法として、マルチコアCPUやGPUを用いた並列計算を導入する。本アルゴリズムは各フォトンに対しては独立に計算を行うことができるため、各フォトンのトレースを並列して計算するように改良する。 さらに可視光域の波長サンプリングについて確率的なサンプリング法の導入が有効かどうかの検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
生成されたCG画像や輝度ダイナミックレンジの広い実写画像を表示するために、高精細高解像度のディスプレイモニタを導入する。また、作成したスペクトル・ハイダイナミックレンジ静止画像や動画像を保存するために高速大容量の補助記憶装置を導入する。 国内で開催される研究会やシンポジウム、そして米国や欧州で開催されるSIGGRAPHやEUROGRAPHICSなどの国際会議で研究成果を発表するとともに情報収集を行う。
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