研究課題/領域番号 |
23500123
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
金田 和文 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30185946)
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研究分担者 |
ライチェフ ビセル 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00531922)
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キーワード | コンピュータグラフィクス / 大域照明モデル / スペクトル / フォトンマッピング / ハイダイナミックレンジ画像 / トーンマッピング |
研究概要 |
高品位の画像生成技術の大幅なレベルアップのためには、分光分布を考慮したレンダリング手法と大域照明モデルに基づいたレンダリング手法の2つを融合した画像生成手法ならびに従来型のディスプレイデバイスへの高品位画像の表示技術を開発することが重要である。 本研究では分光分布を考慮した大域照明モデルに基づく画像生成とその表示手法の開発を行うことを目的としている。 これを実現するために代表的な大域照明モデルであるフォトンマッピング法を拡張することにより分光分布を考慮した高品位画像生成手法を開発する。フォトンマップとフォトントレースの拡張を行い、マルチスペクトル環境下でも効率的に大域照明計算を行う手法の開発を行った。すなわち、フォトンマッピング法に単波長フォトンと複波長フォトンを導入し、さらにフォトントレースの際には重点的サンプリングを導入し、フォトンが物質境界面に衝突したときフォトンの相対的パワーと物質の分光反射・透過特性の両者を考慮して確率的に反射・透過する手法を新たに開発した。これにより効率的に分光分布を考慮した大域照明計算を行うことが可能となった。さらに、大域照明の効果をGPUを用いて高速に計算・表示する手法の開発も行った。 加えて、高品位画像をコンパクトに記録し視覚特性に基づいて表示する手法についても研究・開発を行った。すなわち、ハイダイナミックレンジ分光分布画像を圧縮してコンパクトに記憶し、伸長時にRGB変換を同時に施してRGBディスプレイモニタに直接表示する手法や、高輝度光源を見たときの残像効果を視覚特性を考慮して表現する手法の開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画に基づいて、分光分布を考慮した大域照明計算の高速化を行い、計算精度に対する効率化の検討を行った。アルゴリズムや手法の改良によるソフトウェア的な高速化とともに、大域照明計算に関連する環境遮蔽手法をGPUを用いてインプリメントを行い、高速化に関してその効果を確認した 。さらに、分光分布情報を持つハイダイナミックレンジ画像のコンパクトな記録方法と、従来型のRGBディスプレイモニタへの高速変換表示手法や視覚特性を考慮した高品位画像の表示手法についても研究・開発を行った。
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今後の研究の推進方策 |
これまで開発してきた分光分布を考慮した大域照明計算手法を計算精度と計算時間の両面から検討し、さらに効率化するよう改良を施す。これには、フォトントレースの効率化と、フォトンが持つ波長を可視光域からサンプリングする新たな手法を考案するという2つのアプローチから研究を行う。さらに、これまでの研究成果をもとに、分光分布を考慮した大域照明モデルに基づく表示手法の各種分野への応用について調査、検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
各種分野への応用を検討する適用例等の画像を提示するための高品位ディスプレイモニタを導入する。国内で開催される研究会やシンポジウム、そして米国や欧州等で開催される国際会議で研究成果を発表するとともに情報収集を行う。
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