研究課題/領域番号 |
23500125
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
矢向 正人 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (60239738)
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研究分担者 |
鵜林 尚靖 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (80372762)
松島 俊明 東邦大学, 理学部, 教授 (30190458)
遠藤 徹 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (10313280)
薦田 治子 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 教授 (00323858)
高桑 いづみ 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 無形文化遺産部, 室長 (60249919)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 未解読楽譜 / 古楽譜 / 日本伝統音楽 / 音楽データベース / 楽譜記述言語 / 音楽学 / 音楽情報検索 / 音楽情報処理 |
研究概要 |
未解読楽譜とは構造が明確に規定されていない古楽譜及び構造が知られていない古楽譜を言う。未解読楽譜の解読にはできるだけ多くの解釈を示したうえで可能性の低い解釈を切り捨てる手順が踏まれる。解釈を一つに特定できないとき未解読と認識される。解読作業の効率化を図るために、解読に携わる研究者間で途中段階の解読情報を共有することができるソフトウェアが求められている。本研究は、異なる種目の未解読楽譜のデータを入力及び編集しそれらの楽譜に共有される譜字及び解読データを検索できるシステムを制作することを目標としている。本年度は、対象とする未解読楽譜を楽器を含まない声のための譜に限定したうえで、次の設計方針にもとづいてソフトウェアの仕様案を作成した。1)楽譜解読に携わる研究者をユーザとする古楽譜の入力及び編集のためのツールである。2)入力する楽譜が持つ情報をもれなく記述できる。3)入力する楽譜が持つ未解読譜字の認識が可能である。4)オリジナルの譜字の表記の揺れへの対応が可能である。5)オリジナルの譜字に影響することなく複数の解釈の付記及びその編集を行うことが可能である。6)著作権情報等のメタ情報及び楽譜に記されていない拍数あるいは小節数等の情報の付記が可能である。7)想定外の記譜法に対応するように拡張可能である。ソフトウェアは、共通の処理を行なう本体アプリケーションと楽譜に対応した入力及び編集を行なうための個別アプリケーションとに分割した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、ソフトウェアの仕様案を作成した。また、ソフトウェアに入力する未解読楽譜の個別研究として、長唄の正本にみる未解読譜字の分類と体系化を行なった。しかし、ソフトウェアの実装にはまだ取りかかっていない。その理由は、交付申請時に予定していた学生プログラマが本研究に関われなくなり、ソフトウェアのプログラミングの外注を余儀なくされる状況に至ったからである。現在はその交渉を行なっている段階である。また、研究分担者とソフトウェアの仕様の再検討を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
ソフトウェアの仕様、及び入力する未解読譜字の認識方法及び記述方法に関して研究分担者及びプログラマと検討を行なう予定である。また、ソフトウェアに入力する未解読楽譜それぞれについて音楽学の方法により解読研究を進める予定である。これらの検討が一区切りした段階で、ソフトウェアの実装を外注する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用できる研究費のうち、60%をプログラマへの謝金に当てる予定である。この額は、交付申請時に予定していた額より多い。この理由は、当初予定していた学生プログラマの雇用が困難になったため、プログラミングを外注することになったためである。この増額に伴いその他の額を減らし、20%を研究分担者及びとの打ち合わせ旅費に、20%を設備備品費及び消耗品費に当てる予定である。
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