研究課題/領域番号 |
23500126
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
篠原 武 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (60154225)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 空間検索 / 多次元データ / マルチメディアデータベース / 次元縮小射影 / 階層的空間索引構造 |
研究概要 |
近年,大量の計算機可読マルチメディアデータが蓄積されるようになった.これらを有効活用するためには,情報検索が重要であるが,これまでの情報検索は,キーワードを用いたテキスト検索によるものがほとんどであり,画像や音声などのマルチメディアデータの検索であっても,それらを記述する名称や作者,説明文などの2次情報を介したテキスト検索が多く用いられている.キーワードを用いないマルチメディアデータの内容そのものによる検索は,ごく一部で実用化され始めたばかりである.本研究では,大量のマルチメディアデータをその内容により高速に検索するための索引技法を確立するとともに,その応用可能性を探ることを目的とする. 平成23年度の研究では,大量の高次元マルチメディアデータを高速に近似検索することを目指し,そのための索引構造および次元縮小法の開発を行い,画像や音声などに対する有効性を示した.索引構造は,R-Treeを基本として,その構築法の見直しを行った.次元縮小法は,SimpleMapを基本として,効果的な射影を求める手法の確立を目指した.マルチメディアデータとしては,テレビCM動画から取り出した画像データおよび音データを取り扱った.(1) 次元縮小法SimpleMapの改良 射影像を離散化することにより,これまでのものより少ない情報量でより高精度な射影を行うことができることを示した.(2) R-Tree構築法の改良 空間を階層的に分割して索引付けを行う場合,その分割手法が重要である.ヒルベルト空間補填曲線による順序付けが最適であることが知られている.このことに基づいて,M-Tree的な手法を取り入れたハイブリッド的なMR-Treeを提案し,その有用性を検証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
空間索引の実現における主要な課題である次元縮小法および空間索引構造について,いずれも,離散化による効率化およびM-Treeとのハイブリッド手法の提案を行うことができ,ほぼ当初の計画通りに研究を進めることができた.しかし,計算機を用いる実験については,これまでと同様の規模のものしか行うことができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
空間検索技法については,その適用範囲や有効範囲を実証することが重要である.実際データを用いた検索実験のためには,より高速で大容量の計算機が必要である.しかし,本年度までに行った実験では,さほど大規模のものを行うことができなかったため既存の計算機環境で十分であった.次年度以降においては,より規模の大きな計算機実験を行う.そのためのマルチメディアデータも大量に収集する必要がある.そうした計算機環境を整備するために研究費を使用していく.また,データ収集の作業についての補助者への謝金も必要である.
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次年度の研究費の使用計画 |
マルチメディアデータの収集・加工のための機材(PC,記録装置など)や空間検索の実験のための計算機(PC,ワークステーション)の購入費用.研究打ち合わせや研究発表のための旅費.データ収集作業のための補助者への謝金.
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