• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

メトリック空間オブジェクトの縮小埋め込みによる類似検索の高速化

研究課題

研究課題/領域番号 23500128
研究機関静岡県立大学

研究代表者

池田 哲夫  静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (60363727)

研究分担者 斉藤 和巳  静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (80379544)
武藤 伸明  静岡県立大学, 経営情報学部, 准教授 (40275102)
キーワード類似検索 / 情報検索
研究概要

研究全体の目的は, 画像、文書などのマルチメディアデータの効率的な類似検索方法を開発することである。より具体的には、メトリック空間での有力な類似検索技法として知られているBustosらのピボットによる類似検索方法を土台として効率的な類似検索方法を開発することである。これに関して平成24年度は以下の成果を得た。
1.昨年度に提案したRIWO法が、ピボット数が既知の場合に、Bustos法(LOS法、INC法)よりも高速に良いピボット集合を得られることを、多様なデータに対する計算機実験によって示した。また、RIWO法に基づいたRIWO-INC法を提案した。RIWO-INC法は、ピボット数が未知の場合において、Bustos法(INC法)と同程度の計算量で、より良いピボット集合を構成することを、計算機実験によって示した[三津山]。
2. 目標(3)「メトリック空間オブジェクト集合をユークリッド空間へ写像する、優れた埋め込み関数の構築」に向けての第1歩として、頑健線形射影法を提案した[小林a,b]。絶対値を距離として採用することと、射影後の目的関数値の要素を順序リストとして管理することにより目的関数の高速な計算を可能とすることを特徴とする。実際のデータを用いて評価を行い、従来法(PCA)と比較して、外れ値による影響を緩和できることを示した。
3. 実験対象データの性質を効率的に解析可能とすることを目的として,ネットワーク内のコミュニティの抽出方法とともに,ネットワークの可視化法を開発した。
類似検索においてピボット選択の処理時間は重要な評価尺度である。ピボット選択の処理時間に関しては、上記項番1において従来方法よりも優れた方法を開発しており、これは意義の大きい成果である。また、上記項番2の外れ値による影響を緩和できる縮小写像法の開発も最終目的に向けての意義の大きい成果である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

我々は研究計画書において具体的な目標(研究期間内に何をどこまで明らかにしようとするのか)として、(1)類似検索性能向上に寄与するピボット選択目的関数の構築、(2)サブモジュラ構造を利用したピボット選択の高速化法の構築、(3)メトリック空間オブジェクト集合をユークリッド空間へ写像する、優れた埋め込み関数の構築、(4)構築した埋め込み法に基づいた、ユークリッド空間での適当な最類似検索法の利用による、メトリック空間での高効率な最類似検索手法の開発、を挙げた。
本年度は3年計画の2年目であり、4点のうち最初の2点に関しては初年度の成果をさらに改良した成果を挙げ外部発表を行い、3点に関しては第1歩となる成果を挙げ外部発表を行うまでにいたった。これはほぼ順調な進捗であると考える。

今後の研究の推進方策

先ず、平成24年度に考案した頑健射影法のアイデアを拡張して、平成23-24年度に考案したピボット選択方法の改良を試みる。平成23-24年度に考案したピボット選択方法においては初期ピボット集合の中からピボットを選択していたが、改良検討においてはもともとのオブジェクト空間の中からピボットを選択する点が異なる。これによって、高速に良いピボット集合を選択し、類似検索に要する総計算時間(ピボットとの比較時間+ピボットとの比較段階では直接比較要と判断されたオブジェクトとの比較時間)の優れた類似計算方法の確立を図る。
次いで、開発した類似計算方法の有用性を多様なデータに対する計算機実験によって確認する。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額(50159円)が生じた理由は、本年度末の国内ワークショップ(DEIM2013)に参加に際して、不測の事態に対応するための安全を見込んでやや大目に平成24年度の使用額を余したためである。
次年度使用額(50159円)を併せての、次年度の研究費の使用計画は、消耗品費250159円、旅費300千円(国内旅費300千円)、データ構築分析補助100千円、論文料100千円の合計750159千円である。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (10件)

  • [雑誌論文] 類似検索における逐次入れ替えによるピボット改善選択法2013

    • 著者名/発表者名
      [三津山]三津山 雅規, 斉藤 和巳, 池田 哲夫, 大久保 誠也, 武藤 伸明
    • 雑誌名

      日本データベース学会論文誌

      巻: 11(3) ページ: 9--14

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 異なる視点からのノード機能に基づくコミュニティ抽出法2013

    • 著者名/発表者名
      伏見 卓恭,斉藤 和巳,池田 哲夫,風間 一洋
    • 雑誌名

      日本データベース学会論文誌

      巻: 11(3) ページ: 27--32

    • 査読あり
  • [雑誌論文] "機能性に基づくコミュニティ抽出法の比較2012

    • 著者名/発表者名
      伏見 卓恭, 斉藤 和巳, 風間 一洋
    • 雑誌名

      情報処理学会論文誌 データベース(TOD)

      巻: 5(3) ページ: 26--35

    • 査読あり
  • [学会発表] オブジェクト可視化と類似検索性能による頑健線形射影法の評価2013

    • 著者名/発表者名
      [小林b]小林 えり,伏見 卓恭,斉藤 和巳,池田 哲夫
    • 学会等名
      第5回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2013)
    • 発表場所
      福島県郡山市磐梯熱海 ホテル華の湯
    • 年月日
      20130303-20130305
  • [学会発表] Zスコアを用いたオブジェクト間関係の効果的可視化法2013

    • 著者名/発表者名
      伏見 卓恭,斉藤 和巳,郷古 浩道
    • 学会等名
      第5回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2013)
    • 発表場所
      福島県郡山市磐梯熱海 ホテル華の湯
    • 年月日
      20130303-20130305
  • [学会発表] 個々のノードの視点に基づく機能コミュニティ抽出法2013

    • 著者名/発表者名
      伏見 卓恭,斉藤 和巳,池田哲夫,風間一洋,松尾真人
    • 学会等名
      第5回Webとデータベースに関するフォーラム(WebDB2012)
    • 発表場所
      福島県郡山市磐梯熱海 ホテル華の湯
    • 年月日
      20130303-20130305
  • [学会発表] オブジェクト間の非類似度の違いによる全体類似度構造の分析2012

    • 著者名/発表者名
      [小林a]小林 えり,伏見 卓恭,斉藤 和巳
    • 学会等名
      第9回 ネットワーク生態学シンポジウム(NETECO2012)
    • 発表場所
      沖縄国際大学
    • 年月日
      20121215-20121216
  • [学会発表] 道路ネットワークでの機能コミュニティ抽出による地域特性分析2012

    • 著者名/発表者名
      伏見 卓恭,斉藤 和巳,池田 哲夫,風間 一洋
    • 学会等名
      第9回 ネットワーク生態学シンポジウム(NETECO2012)
    • 発表場所
      沖縄国際大学
    • 年月日
      20121215-20121216
  • [学会発表] 株価変動のネットワーク分析2012

    • 著者名/発表者名
      ブイ・スアン・フォン, 上野 雄史, 榊原 源基,斉藤 和巳
    • 学会等名
      第9回 ネットワーク生態学シンポジウム(NETECO2012)
    • 発表場所
      沖縄国際大学
    • 年月日
      20121215-20121216
  • [学会発表] 有向ネットワークにおける機能コミュニティと頑健性2012

    • 著者名/発表者名
      伏見 卓恭, 斉藤 和巳, 池田 哲夫, 風間 一洋
    • 学会等名
      第97回 知識ベースシステム研究会 (SIG-KBS)
    • 発表場所
      慶応義塾大学 日吉キャンパス 来往舎
    • 年月日
      20121115-20121115
  • [学会発表] Extracting Communities in Networks based on Functional Properties of Nodes2012

    • 著者名/発表者名
      Takayasu Fushimi, Kazumi Saito and Kazuhiro Kazama
    • 学会等名
      Proc. of the 2012 Pacific Rim Knowledge Acquisition Workshop(PKAW2012)
    • 発表場所
      Kuching, Sarawak, Malaysia
    • 年月日
      20120903-20120907
  • [学会発表] 有向ネットワークに対する機能コミュニティ抽出法の検証2012

    • 著者名/発表者名
      伏見 卓恭,斉藤 和巳,風間 一洋,池田 哲夫
    • 学会等名
      第8回ネットワークが創発する知能研究会(JWEIN'12)
    • 発表場所
      立正大学 大崎キャンパス
    • 年月日
      20120829-20120831
  • [学会発表] Mixing Matrixに基づく階層付きカテゴリカルデータの可視化法2012

    • 著者名/発表者名
      伏見 卓恭,斉藤 和巳,池田 哲夫,風間 一洋
    • 学会等名
      第24回人工知能学会全国大会(JSAI2012)
    • 発表場所
      山口県(教育会館他)
    • 年月日
      20120612-20120615

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi