研究課題/領域番号 |
23500135
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
木下 宏揚 神奈川大学, 工学部, 教授 (70202041)
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研究分担者 |
森住 哲也 神奈川大学, 工学部, その他 (70537422)
宮田 純子 神奈川大学, 工学部, 助手 (90633909)
鈴木 一弘 高知大学, 自然科学系, 助教 (50514410)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 情報セキュリティ / 地域通貨 / 電子商取引 / 著作権管理 / 群知能 / ゲーム理論 / アクセス制御 / 個人情報保護 |
研究実績の概要 |
流通のセキュリティについては、推論による情報漏えい防止のためのハイパーグラフによる依存関係のモデル化とアルゴリズムによる推論による情報漏洩検出の有効性を示し、検索にかかる最小コストをダイクストラ法を用いて推論されやすい経路を導出することで推論による情報漏えいを未然に検出し,情報の流れであるグラフの辺を開放除去することにより最適にアクセス制御を行う手法を提案した。 価値交換システムとしては、破産ゲームを用いたコミュニティ内での価値の交換システムを提案した.研究室を例にし全体提携することによってより良い配分になるような結果を求めた.また、ボランティアなどの利他的行動を考慮した利他性を考慮した利他的効用関数を用いたモデルの構築を行い、コミュニティ全体の利他的な満足度を上げていったとき,コミュニティ内の平均の利他性はどのように変化していくのか,シミュレーションを行った。また、オントロジを導入した情報検索システムを提案した.提案システムではデータベースはRDF 化され,その上でデータの意味を扱うのに必要となる語彙と知識がOWL によってオントロジに記述されている.こうすることでデータベースに記載された資料に関するメタデータをコンピュータが理解できるようになるため,意味検索や複数の組織間でデータベースとの相互運用の簡易化が可能になった.また、データの分野やジャンルなどの類似度に応じてファイルを集めることで,多くのファイルを一目で把握可能とするファイルシステムを提案した.この提案システムでは,ファイルは自己組織化された集合値とみなした群知能を用いることで,効率的にファイルを集めることを可能とする. 著作権管理の技術としては、二回ウェーブレット変換を行い中間領域へスペクトル拡散を用いて埋め込むことでより透かし情報に高い秘匿性を持った,画像劣化が少なくかつ耐久性を持った電子透かしを提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
情報コンテンツの流通のセキュリティについては,ハイパーグラフを用いた推論攻撃を対象としたカバーとチャンネル検出については、各サブジェクトが読み込み操作で得た情報に推論を行った結果を書き込んだ場合についてモデル化を行い,提案手法が有効であることを検証する予定であったが、これより先にに情報漏洩の検出後のアクセス制御について提案を行い書き込みについては次年度に繰り延べした。また、群知能によるふるまいの解析と視覚的なユーザインタフェースが,全体の研究目的でも触れた「未知の知識をシステムが発見しユーザに提示」するためのフレームワークにも応用可能なことがわかってきたため,これをクラウド上の様々な情報を自己組織的に編成しユーザに提示するシステムをクラウドファイルシステムとして提案を行うことができた。 決済手段としての価値交換システムは,昨年度に引き続きゲーム理論に基づくモデルを検討し,利他的効用関数や破産ゲームなどを用いた価値交換システムの提案を行うことができた。価値の評価関数については次年度に繰り延べた。著作権管理については,電子透かしについてはいくつか提案を行うことができたが、価値交換システムやクラウドファイルシステムで得られた知見の利用については次年度に繰り延べた。 以上のように、全体の研究計画としては概ね順調に進展していると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
情報コンテンツの流通のセキュリティについては,ハイパーグラフを用いた推論攻撃を対象としたカバーとチャンネル検出について,これまでに提案した手法では,特定のユーザ(サブジェクト)の読み込み操作に起因した推論攻撃のみを対象としていたが,これを一般化し,各サブジェクトが読み込み操作で得た情報に推論を行った結果を書き込んだ場合についてモデル化を行い,提案手法が有効であることを検証する.また、群知能によるふるまいの解析と視覚的なユーザインタフェースを応用したクラウド上の様々な情報を自己組織的に編成しユーザに提示するシステムをクラウドファイルシステムをさらに発展させ、カバートチャンネルなど情報漏洩の視覚化の有効性を示す。また、群知能を用いた資料の自己組織化によるクラスタリングに基づいたユーザインタフェースの開発を行う.また、ファイルシステムを構成するデータベースでの情報間の依存関係や推論についてモデル化する際には、リレーショナル・データベースモデルにおけるデータベース間のスキーマの相違点を考慮するための正規化とオントロジーを用いたモデルの検討を行う。 決済手段としての価値交換システムは,昨年度に引き続きゲーム理論に基づくモデルを検討し,価値の評価関数について考察する.著作権管理については,価値交換システムやクラウドファイルシステムで得られた知見を元に発展させていく予定である.またコンピュータ・ウィルスの原理を利用した著作権保護システムの可能性について検討を行う. 著作権管理技術については、検討を行ってきたコンテンツの二次利用や目的外利用について自律的に著作権の調停を行う手法を更に発展させる。 また最終年度であるため、全体の取りまとめや学会発表などを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費については、他予算を利用したため当初の予定より減額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
IEEEの国際会議のIEEE INTERNATIONAL CONFERENCE ON CONSUMER ELECTRONICS - TAIWAN (IEEE 2015 ICCE-TW) や電子情報通信学会技術と社会・倫理研究会など国内外での研究成果発表の旅費として使用する.また,群知能でモデル化したシステムについてシミュレーションを行うマルチエージェントシミュレータをさらに効率的に運用するため追加購入する.またユーザインタフェース構築を行うためのタブレットおよびソフトウェアを購入する.
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