研究課題/領域番号 |
23500137
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研究機関 | 情報セキュリティ大学院大学 |
研究代表者 |
辻 秀典 情報セキュリティ大学院大学, その他の研究科, 准教授 (90398975)
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研究分担者 |
山肩 洋子 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (60423018)
舩冨 卓哉 京都大学, 学内共同利用施設等, 助教 (20452310)
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キーワード | 遠隔コミュニケーション / メディア処理 / 弱同期 / 遠隔同時調理 / ながら作業 / IwaCam / 調理支援システム |
研究概要 |
調理をしながらコミュニケーションをとるためには,Skypeに代表される一般的なビデオチャットシステムのように,単に双方の顔の映像を配信すればいいというわけではない.調理の状況を伝えるためには,調理者の顔表情よりも,手元の映像のほうがより重要であると考えられる.また,調理中は洗ったり炒めたりする際に様々なノイズが発生すること,キッチンでは一箇所に留まらず,例えばコンロとシンクの行き来のような若干の移動を伴うことが考えられる.このように,調理をしながら行うコミュニケーションは,一般的なビデオチャットで想定されているコミュニケーションとは環境・目的ともに異なっている.また,常に画面を見ていられることを想定した一般的なビデオチャットとは違い,調理をしている際,視線は主に自分の手元に向いており,時々しか画面を見ることができない. そこで,そのような状況でも,相手の状況がおよそ把握でき,コミュニケーションに齟齬が起きないようにするためには,画像認識や音声認識といったメディア情報処理技術を活用する支援が必要だと想定している. 本年度は,昨年度行った実験に基づき,調理をしながらコミュニケーションすることの有効性を示すために,本研究の成果に基づく発表を国内と海外で行った. また,引き続き実験を行うことで,ユーザ環境一般を対象としたとき,通信環境の多様性,通信回線のロバストネスへの対応が必要であることを見いだした.これはフィールドテストを行うためにクリアしなければいけない問題であり,この点に対する基盤システムの改良点を洗い出し,基盤システムの改良と実験を行うことでフィールドテストに向けたブラッシュアップを行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画においては,平成23年度には,①基盤システム開発,②サムネイル画像の自動選択機構,③システム統合を行う事を計画し,平成24年度には,①予備実験,心理実験,要因分析,②フィールドテストを行うこととしていた. 実際には,当初平成24年度に予定していた予備実験を前倒しで平成23年度に行い,実験環境および実験シナリオの検討と想定,さらにはIwaCamを用いた実験システムの実装を行った.そのため平成24年度は,システム統合とフィールドテストを行うための各種実験と検討を行った. まず,その段階までの成果をまとめて,調理をしながらコミュニケーションすることの有効性について検証し,その成果についての発表を国内と海外で行った. また実験を重ねていく過程で,ユーザ環境一般を対象としたとき,通信環境の多様性,通信回線のロバストネスへの対応が必須であることを見いだした.これはフィールドテストを行うためにクリアしなければいけない問題であり,この点に対する基盤システムの改良点を洗い出し,基盤システムの改良と実験を行うことでフィールドテストに向けたブラッシュアップを行った. 結果として,平成23年度で実装を行い,平成24年度でフィールドテストを行うといった当初の計画について,フィールドテストには着手できているが,併せて基盤の改善の必要性が出てきたため,並行で行っている段階である.そのため,当初の計画ほど十分なフィールドテストは行えておらず,進捗率をやや遅れているという判断とした.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年までに行った実験と検討を通じて,ユーザ環境一般を対象としたとき,通信環境の多様性,通信回線のロバストネスへの対応が必須であることを見いだした.まずこの点への対応について,優先的に検討と対処を行う. フィールドテストにおいては,ユーザのストレスが多ければ効果的な結果が得られない.そのため,実験においてストレスを与えないための実験環境の再構築および実験方法の見直し,およびプラットフォームの改善を行うい,ユーザにストレスを与えないフィールドテストの環境と整える. その上で,観測映像処理および観測音声処理によるユーザ補助についてプラットフォームに取り込み,フィールドテストを行う.併せて,利用者を拡大するための一般普及に向けてのシステムの改良についても行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度はフィールドテストの実施および,テスト結果を整理・検討して成果としてまとめ,対外発表を行うために研究費を用いる. 内訳は,フィールドテストを行うための環境構築のための機材費,および実験協力者に対する謝金,対外発表を行うための旅費として使用する.
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