研究課題/領域番号 |
23500145
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
平田 圭二 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (30396121)
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研究分担者 |
東条 敏 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (90272989)
浜中 雅俊 筑波大学, 人間総合科学研究科, 講師 (30451686)
長尾 確 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (70343209)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | コンテンツ / 音楽分析 / 意味構造分析 / 再利用 |
研究概要 |
平成23年度の計画は以下の通り.(a)理論的検討:会議記録イベントと音楽イベントの差異の例として,葉となる各発言間に言語意味的な関連が生じている,瞬間的に生じるイベントには音符における音長(duration)という概念が無い等がある.差異の種類を全て明らかにし,その差異を考慮したタイムスパン木構造とjoin, meet演算を検討する.翻訳されたGTTM規則によって抽出された会議記録のグルーピング構造を人手による正解と比較する. (b)ディスカッションマイニング用意味構造解析器:(a)の進捗と連携しながら,GTTM規則群の内,グルーピング構造分析の7規則を翻訳し,音楽用楽曲構文解析器のグルーピング構造解析モジュールからディスカッションマイニング用への改良に着手する.(c)意味構造抽出の検証:実際の会議記録データに(b)の解析器を適用して,グルーピング構造分析の結果を得て,従来より正確で細粒度の意味構造が抽出されているかどうかを確認する.各々について述べる.(a)に関して,タイムスパン木の数学的な意味を定義した.その定義に基づいた表現を用いて,モーフィングアルゴリズムを記述した.ディスカッションの構造を形式的に表現する大きな足がかりとなる.(b)に関して,2008年に構築した旋律用構造解析器ATTAの内部構造の調査を行った.これはDM用に改造するための準備に相当する.(c)に関して,幾つかのディスカッション例を取り上げ,議論のタイムスパン木を構成してみせた.これはGround Truthデータに相当する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,この音楽に対する自動分析器と演算体系の技術をテキスト,ビデオ,メタデータ等から成るマルチメディア会議記録の意味構造分析と会議記録再利用に適用し,より有用なディスカッションマイニングを実現することである.そのため2つの項目を置いた:(1) GTTMの規則群をマルチメディア会議記録の分析に適用し,得られたタイムスパン木が会議の意味構造を正確かつ細粒度に表現していること,(2) マルチメディア会議記録に対してjoin, meetなどの演算を適用して会議記録の様々な再利用が実現できること.まず(1)に関する達成度は30%である.これは,タイムスパン木の数学的な意味を定義したこと,ケーススタディの議論に関して議論のタイムスパン木の正解データ (Ground Truth) を作成したからである.次に(2)に関する達成度は現在0%であるが,(2)の研究は平成24年度より着手する予定なので,計画通りである.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度計画は以下の通りである:(a)理論的検討:タイムスパン木として抽出された議論の意味構造が,人手で分析された正しい意味構造と対応しているか否かを確認し,不整合な箇所の原因を探り, GTTM規則の翻訳手法を改良する.(b)ディスカッションマイニング用意味構造解析器:GTTM規則群の残り27規則の翻訳を継続し,ディスカッションマイニングにおいて不要となる規則,新たに導入すべき規則などを明らかにする.拍節構造解析モジュール,タイムスパン木生成モジュールの作成に着手する.(c)意味構造抽出の検証:(b)を会議記録に適用して得られたタイムスパン木が,従来より正確で細粒度の意味構造を抽出していることを確認する.(d)再利用機能:音楽用に定義されたjoin, meet演算とそれらを用いた幾つかのアルゴリズムを転用して,議事要約生成アルゴリズムの設計,FAQ集の自動生成・改版等の機能を設計する.特に(b)の作業に重点を置いて研究を進める予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は予定通り,研究打合せ4回,研究成果発表国内2人回,海外2人回実施する.「収支状況報告書」の「次年度使用額」の合計欄が42,826円となっているが,この理由は,出張をする際,務めて早期に航空券を手配しその結果計画より安価に購入することができたためである.平成24年度は研究打合せの回数を1回増やすことを考えている.
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