研究課題/領域番号 |
23500145
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
平田 圭二 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (30396121)
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研究分担者 |
東条 敏 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (90272989)
浜中 雅俊 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 講師 (30451686)
長尾 確 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (70343209)
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キーワード | コンテンツ / 音楽分析 / 意味構造分析 / 再利用 |
研究概要 |
平成24年度の計画は以下の通りであった:(a)理論的検討:タイムスパン木として抽出された議論の意味構造が,人手で分析された正しい意味構造と対応しているか否かを確認し,不整合な箇所の原因を探り, GTTM規則の翻訳手法を改良する.(b)ディスカッションマイニング用意味構造解析器:GTTM規則群の残り27規則の翻訳を継続し,ディスカッションマイニングにおいて不要となる規則,新たに導入すべき規則などを明らかにする.拍節構造解析モジュール,タイムスパン木生成モジュールの作成に着手する.(c)意味構造抽出の検証:(b)を会議記録に適用して得られたタイムスパン木が,従来より正確で細粒度の意味構造を抽出していることを確認する.(d)再利用機能:音楽用に定義されたjoin, meet演算とそれらを用いた幾つかのアルゴリズムを転用して,議事要約生成アルゴリズムの設計,FAQ集の自動生成・改版等の機能を設計する. 各々について実績を述べる.まず(a)について,タイムスパン木と延長木を生成する際に用いられる重要度を算出するための要素を絞り込んだ(例えば,発言の長さ,キーワード出現数,発言者の社会的ステータスなど).(b)について,議論のタイムスパン木生成ルールが共通に利用するライブラリ関数の内,発言時間,発言者の属性,発言予約のタイミング,後続する継続発言数などを実装した.(c)について,タイムスパン木の妥当性を直接観察することは難しいので,タイムスパン木に従って議事の要約を作成し,その要約の妥当性をもってタイムスパン木の妥当性評価を行った.8つのディスカッションに関してからタイムスパン木に基づいて要約を作成し,5人の被験者が要約の妥当性を5段階評価した.その結果0.64~0.88 (max 1.0)という評価値を得た.(d)について,進捗はなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,この音楽に対する自動分析器と演算体系の技術をテキスト,ビデオ,メタデータ等から成るマルチメディア会議記録の意味構造分析と会議記録再利用に適用し,より有用なディスカッションマイニングを実現することである.そのため2つの項目を置いた: (1) GTTMの規則群をマルチメディア会議記録の分析に適用し,得られたタイムスパン木が会議の意味構造を正確かつ細粒度に表現していること, (2) マルチメディア会議記録に対してjoin, meetなどの演算を適用して会議記録の様々な再利用が実現できること. まず(1)に関する達成度は80%である.タイムスパン木を構成する上で必須である重要度算出のための要素の絞り込みが完了したこと,ライブラリ関数の一部の実装が完了したこと,タイムスパン木の妥当性評価を行ったからである.次に(2)に関する達成度は現在0%である.本年度より着手したが,タイムスパン木の妥当性評価に手間取ってしまったため.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の計画は以下の通りである:(a)理論的検討:マルチメディア会議記録の意味構造に関してメディア間で生じる食い違を統合する手法を検討する.(b)ディスカッションマイニング用意味構造解析器: GUI部を作成する.上図は現在のディスカッションマイニングシステムにおいてビデオを効率よく閲覧するために提供されている議事録のビデオビューであり,下図は音楽用楽曲構文解析器のGUIである.当該意味構造解析器のGUIには,上図にてリニアに表示されているビデオ記録に対して,下図のタイムスパン木が付与されたようなレイアウトを持たせる予定である.(c)意味構造抽出の検証:(a)の成果を参照しつつ,(b)を会議記録に適用して得られた結果の妥当性を検証する.(d)再利用機能:効果的な再利用機能を設計・実装し,本方式の有効性を主張する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は予定通り,研究打合せ4回,研究成果発表国内3人回,海外2人回実施する.
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