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2012 年度 実施状況報告書

脳・抹消循環の動的応答解析による3次元映像のわずかな違和感が与える影響評価

研究課題

研究課題/領域番号 23500146
研究機関福島大学

研究代表者

田中 明  福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (10323057)

キーワード立体映像 / 自律神経解析 / 末梢血管抵抗 / 非接触計測
研究概要

24年度は1)血管調節パラメータの妥当性の調査,2) 映像視聴実験,3) 非接触計測の検討を目的とした.
血管調節パラメータの妥当性の調査では,昨年度に引き続き提案パラメータの基本特性確認するために静脈の圧迫時および軽度の運動時の変化を調査した.その結果,上腕の繰り返しの圧迫に対して本指標は上昇する傾向を示し,運動開始直後は減少する被験者が多かったことから本指標の妥当性が示唆された.一方,圧迫によって過度な鬱血が生じる場合は指標の値が減少すること,体動の影響を受けやすいため,算出された指標の妥当性に関する情報も必要であることなどの問題点も明らかとなった.
映像視聴実験および視聴時の各指標の調査では,生理指標による違和感あるいは不快度の推定を行うことを目的とし,映像に起因する不快感として代表的な映像酔いについての考察を行った.その結果,循環系生理指標の重回帰モデルによってある程度不快度の変化を推定できることが明らかとなり,特に明確な自覚症状がない場合の不快度の評価には有効である可能性が示された.
映像視聴時の循環状態を計測する際,センサの装着は情動反応に影響を与える場合があることや,実験そのものがストレスとなることを避けるため,実験時はできる限りセンサの装着を避けることが望ましい.本年度は上記の実験と並行して,被験者を撮影したカメラ画像から循環情報を取り出す試みを行った.その結果,動画像から被験者の瞬時心拍数だけでなく脈波伝播に関する情報も得られる可能性が示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

24年度は1)血管調節パラメータの妥当性の調査,2) 映像視聴実験,3) 非接触計測の検討を目的とした.血管調節パラメータの妥当性の評価では,上腕の繰り返しの圧迫に対して指標は上昇する傾向を示し,運動開始直後では指標が減少する被験者が多かったことから本指標の妥当性が示唆された.一方,圧迫によって鬱血が生じる場合は指標の値が減少すること,体動の影響を考慮する必要があることなどの問題点も明らかとなった.映像視聴実験では,立体映像視聴時の映像酔いについて,不快度を循環系のパラメータで推定する試みを行った.その結果不快度の経時的な変化を推定できる可能性が示唆された.さらに,循環系の情報を非接触で計測する手法の検討を行った結果,カメラ画像から瞬時心拍数や脈波伝播に関する情報を得ることができる可能性が示された.
上記の通り,本年度はおおむね研究計画通りに実行できたと考えられるが,一方で新たな課題も明らかとなったため,次年度以降の研究に盛り込む必要がある.

今後の研究の推進方策

24年度において,計測が不安定な場合における指標の信頼性の低下への対策および映像による不快度の連続的な変化を推定することが必要であるため,次年度には,1)血管調節パラメータ算出方法の改善,2)基本的な映像要素で構成された立体映像視聴時の生体影響調査を主に行う.
1)の血管調節パラメータ算出方法の改善では,システム同定に用いる信号の前処理よる同定精度の向上と信頼性が低い場合の対策について昨年度得られた基本特性の実験結果を拡充して行うとともに映像視聴実験の解析に応用する.
2) 基本的な映像要素で構成された立体映像視聴時の生体影響調査では新たにCGを利用してカメラ運動と視差を任意に変えた映像を作成し,その映像を視聴した際の影響の調査を行う.基本的な実験方法と解析方法は24年度と同様とする.
さらに,24年度に新たに提案された非接触循環系計測手法は,その基本的なアルゴリズムの評価を行うとともに新たに得られる循環系指標についての考察を行う.

次年度の研究費の使用計画

次年度は映像視聴実験の実施に必要な機器や消耗品と生体信号の非接触計測の基礎的実験のための部品等の購入を中心に行う.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Physiological Evaluation of Visually Induced Motion Sickness Using Independent Component Analysis of Photoplethysmogram2013

    • 著者名/発表者名
      Makoto ABE, Makoto YOSHIZAWA, Norihiro SUGITA, Akira TANAKA, Noriyasu HOMMA, Tomoyuki YAMBE, Shin-ichi NITTA
    • 雑誌名

      Advanced Biomedical Engineering

      巻: 2 ページ: 25-31

  • [雑誌論文] Development of a virtual reality system to evaluate skills needed to drive a cycling wheel-chair.2012

    • 著者名/発表者名
      Sugita N, Kojima Y, Yoshizawa M, Tanaka A, Abe M, Homma N, Seki K, Handa N.
    • 雑誌名

      Proc IEEE Eng Med Biol Soc.

      巻: 2012 ページ: 6019-6022

    • 査読あり
  • [学会発表] Physiological evaluation of visually-induced motion sickness using independent component analysis of photoplethysmogram2012

    • 著者名/発表者名
      Makoto Abe, Makoto Yoshizawa, Norihiro Sugita, Akira Tanaka, Noriyasu Homma, Tomoyuki Yambe, Shin-ichi Nitta
    • 学会等名
      生体医工学シンポジウム2012
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      20120907-20120908
  • [学会発表] 血管抵抗調節系のシステム同定を利用した自律神経機能評価2012

    • 著者名/発表者名
      田中明, 吉澤誠, 山家智之
    • 学会等名
      生体医工学シンポジウム2012
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      20120900
  • [産業財産権] 脈波伝播速度の測定方法及びシステム並びに撮像装置2013

    • 発明者名
      高森哲弥,吉澤誠,本間経康,杉田典大,阿部誠,田中明
    • 権利者名
      高森哲弥,吉澤誠,本間経康,杉田典大,阿部誠,田中明
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2013-47014
    • 出願年月日
      2013-03-08

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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