研究課題/領域番号 |
23500148
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
宮尾 秀俊 信州大学, 工学部, 准教授 (10239353)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 手書き楽譜認識 / 楽曲検索 / 手書き記号検索 |
研究概要 |
平成23年度は、主に手書き楽譜記号識別器の性能比較、入力楽曲の高速検索、手書きの検索クエリーからの手書き記号検索について研究を行った。下記にこれらの研究成果の概要を示す。・ペンコンピュータを用いて入力された手書き楽譜記号を認識するために、識別器としてサポートベクターマシン(SVM)とAdaBoostを用いる手法を考案した。そして、この2つの識別器に対して、学習速度・識別精度の観点から性能の比較実験を行った。その結果、SVMでは記号の識別精度が高いが学習速度が遅く、AdaBoostではその逆の傾向が見られた。これらの実験結果は、今後行う予定の楽譜記号の高精度認識の実現・筆記者適応システム構築に役立つと考えている。・ハミングなどの入力音楽データから、楽曲を高速に検索する手法について検討を行った。具体的には、楽曲を文字列に変換してDPマッチングによって検索を行う際に、木構造を用いて重複計算の回数を減らす手法、その際の走査回数を減らす手法、計算の並列化を行う手法を考案した。その結果、従来手法の約10倍の速さで検索できることを確かめた。・手書き入力された記号データベースを対象として、手書き記号を検索クエリーとした検出手法について検討した。具体的には、検索クエリーとデータベース中の対象記号間の図形的な位置関係と記号形状の類似度を考慮した距離尺度を考案して、検索を行い、高い精度で検索できることを実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では、(1)認識・編集に適した手書き楽譜情報・楽曲データ表現法の考案、(2)データの収集、(3)楽曲情報を利用した楽譜認識手法の考案について研究を行う予定であった。(2)、(3)については進捗がやや遅れているが、反面、次年度以降に計画していた「認識システムの筆記者適応法についての考案」、「既存入力楽曲の検索法についての考案」の一部に取り掛かることができた。よって、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は下記の観点から研究を推進していく予定である。・楽曲情報を利用した楽譜認識手法の考案・認識システムの筆記者適応法についての考案・手書き楽譜編集に用いるペンジェスチャの検討と編集機能の考案・楽曲情報を利用したオフライン手書き楽譜認識また、上述の手法を用いて、実際に手書き楽譜認識・編集環境システムを構築するとともに、実際の作曲家などに試用してもらい、各種機能の使い勝手、精度等を検証する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は、楽曲データ表現法の考案・構築に予想外に時間がかかったため、楽曲データ収集の一部を行うことができなかった。そのため、使用予定であった国内旅費と謝金分が未使用となっている。平成24年度以降で、上記データ収集を行うため、旅費・謝金分として未使用額を使用する予定である。また、従来の計画どおり、下記事項に研究費を使用する予定である。・オフライン手書き楽譜認識を行うためにドキュメントスキャナを購入・研究の成果発表のための外国旅費
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