研究課題/領域番号 |
23500148
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
宮尾 秀俊 信州大学, 工学部, 准教授 (10239353)
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キーワード | 楽譜作成支援 / ペンコンピュータ / 手書き楽譜認識 / 楽曲検索 |
研究概要 |
平成24年度は、主に手書きの検索クエリーからの手書き記号検索とその高速化、手書き図形の認識・編集システム、手書き楽譜からの演奏情報検索について研究を行った。下記にこれらの研究成果の概要を示す。 ・平成23年度に引き続き、手書きで書かれた記号・図形を検索クエリーとして、大量の手書き記号群の中から目的の記号を検索する手法について研究を行った。具体的には、記号を構成するストロークの形状と位置を円によって表現する新しい手法を考案し、その円の重なり面積によって記号間の類似度を測っている。しかし、この手法はデータベースが大きくなると、検索に時間がかかってしまうため、今年度は、kd-treeと時系列の筆記情報に基づく検索の高速化手法を提案した。その結果、従来の8倍の高速化を実現した。 ・手書き図形の認識手法について検討を行った。手法としては、閉ループを構成する記号を中心として分離を行い、各記号から得られた方向性特徴量に基づき、サポートベクターマシンを使って認識する手法を用いた。これにより高い記号認識精度を得ることができた。また、ペンによる編集操作法についても考案、実装を行い、その有効性を確かめた。 ・手書き楽譜記号を逐次認識し、その結果に基づいて、今までに演奏した部分から、現在入力している楽曲部分を検索・候補提示する手法を考案した。具体的には、両者をピアノロールの形式で表現し、時間方向の伸縮の正規化を行った後、図形的な重なりに基づいた検索を行った。その結果、高い精度で検索できることを実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度までに実施する予定であった「データの収集」、「楽曲情報を利用した楽譜認識手法の考案」、「ペンジェスチャの検討と編集機能の考案」について、予定していたよりも進捗が遅れている。よって、やや遅れているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は「データの収集」、「楽曲情報を利用した楽譜認識手法の考案」、「手書き楽譜編集に用いるペンジェスチャの検討と編集機能の考案」、「楽曲情報を利用したオフライン手書き楽譜認識」の観点から研究を推進していく予定である。また、これらの手法を用いて、実際に手書き楽譜認識・編集環境システムを構築するとともに、実際の作曲家などに試用してもらい、各種機能の使い勝手、精度等を検証する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、既存入力楽曲の検索法の考案・システム構築に予想外に時間がかかってしまったため、楽曲データ収集を行うことができなかった。そのため、使用予定であった国内旅費の一部と謝金分が未使用となっている。25年度で、上記データ収集を行なうため、旅費・謝金分として未使用額を使用する予定である。 また、従来の計画どおり、下記事項に研究費を使用する予定である。 ・研究の成果発表のための外国旅費 ・論文投稿料
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