研究期間の間に実施した研究の概要を下記に示す。なお、※の項目は 最終年度(平成25年度)に実施した研究である。 ・ハミングなどの入力音楽データから、楽曲を高速に検索する手法について検討を行った。具体的には、楽曲を文字列に変換してDPマッチングによって検索を行う際に、木構造を用いて重複計算の回数を減らす手法、その際の走査回数を減らす手法、計算の並列化を行う手法を考案した。その結果、従来手法の約10倍の速さで検索できることを確かめた。 ・手書き入力された記号データベースを対象として、手書き記号を検索クエリーとした検出手法について検討した。具体的には、検索クエリーとデータベース中の対象記号間の図形的な位置関係と記号形状の類似度を考慮した距離尺度を考案して、検索を行い、高い精度で検索できることを実証した。また、kd-treeと時系列の筆記情報に基づく検索の高速化手法を提案し、従来の8倍の高速化を実現した。 ※手書き楽譜記号を逐次認識し、その結果に基づいて、今までに演奏した部分から、現在入力している楽曲部分を検索・候補提示する手法を考案した。具体的には、認識結果と演奏データを三角形状のピアノロール形式で表現し、図形的な重なりに基づいた検索を行った。また、検索対象楽曲の時間幅の拡大を行なう手法も合わせて考案した。これらの結果、高い精度で検索できることを実証した。 ※タブレット端末を用いた楽譜作成システムにおけるタッチ操作に基づく楽譜編集手法を考案した。記号の削除・音高修正操作は、2本の指で譜面上を2点タッチし、それら2点を対角とする矩形の範囲内に存在する記号を操作対象とした後、アイコンタッチによる削除、あるいはタブレット上の音楽キーボードを用いた音高修正によって実現した。その結果、従来のマウスを用いたアイコン選択による楽譜作成システムより、高速かつ直感的に編集ができることを示した。
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