研究課題/領域番号 |
23500149
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
平川 正人 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (30173222)
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キーワード | ユーザインターフェース / マルチモーダルインターフェース / スマートセンサ情報システム |
研究概要 |
前年度に構築した靴領域獲得技術の上に立ち、人間の感情や心理状態の推定を行う研究に着手した。歩容を直接取得するために大掛かりな装置の設置や特別なデバイスの人間への装着が必要とならないように、センサマットの上を歩行することで獲得される人間の歩行特徴データからの歩容の推定に取り組んだ。これを既存の研究成果と組み合わせることで、歩行動作から感情や心理状態を間接的に推定することができると期待される。具体的な研究成果は次の通りである。 1) 既存の関連研究についてサーベイを行い、本研究の目標に見合った身体運動(感情・心理状態の推定に使用できるもの)について検討した。 2) 身体運動と歩行(足圧分布)特徴との対応付けについて検討する準備段階として、Kinectセンサーを用いて身体運動のモーションキャプチャを行い、同データを足圧分布データと共に記録するシステムの実装を行った。また、足圧データからの靴領域追跡の処理性能の改善にも取り組んだ。Walker's alias methodを適用することにより、パーティクルフィルタの実行速度を47%改善し対話システム環境での利用に耐え得るものとした。また、複数人が同時にマット上を歩行する環境下にあって、各人の靴ペア(すなわち歩行者個人個人の判定)を正しく区別できるようにシステム機能を拡張した。判別性能92%を達成した。 3) デジタルサイネージへの応用展開に向けて、タッチパネル操作機能を備えた実験システムのハードウェアを組み上げ、次年度のソフトウェア開発に備えた。 学術論文発表を行った他、HISSシンポジウムにおいて開発したシステムの展示を行い、来場者に直接の成果説明を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に計画していた研究課題をシステム機能面では達成することができた。ただし関連研究のサーベイについては領域を広げて今後も継続して行う必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果は様々な機会を通じて広く発信していく。新しい連携を模索し、更に広がりをもった研究発展を目指す。また実用化を強く意識した研究取り組みを加速し、研究成果の一般社会への還元という役割を達成するように努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度予算の執行にあっては、研究遂行に不可欠のセンサマットの故障が発生したことによる想定外の支出が発生したが、一方で備品として計上していたディスプレイ設置台(特注)に相当する規格を備えた汎用品が見つかり支出を抑えることができた。これと併せ、英文推敲や消耗品費の執行の関係で、当初計画と比べて、わずかではあるが残余が発生した。H25年度は本プロジェクトの最終年度にあたるため、残額を含めたH25年度研究費を充てることにより、当初に計画した研究目標を確実に達成するように精力的に研究活動に取り組む。具体的には、感情・心理状態を歩行特徴から推定することに一定の目処をつけるとともに、そのような感情・心理状況に応じたコンテンツの動的選択機能をデジタルサイネージシステムに組み込む研究を進める。そのために直接必要なシステム開発費用、システムの有効性を評価するための実験に係る謝金、成果を社会に公表するための旅費、英文推敲料、論文投稿料として研究費を使用する。
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