研究課題/領域番号 |
23500150
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岡田 義広 九州大学, 附属図書館, 教授 (70250488)
|
キーワード | メディア情報学 / データベース / ヒューマンインタフェース / 3次元グラフィックス / ソフトウェア開発 / バーチャルリアリティ |
研究概要 |
本申請研究は、3次元形状と固有の機能をもつ高度に具象化された3次元CGソフトウェア部品化において、色・形といった属性のほかに、従来扱われて来なかった動きや機能といった属性情報を積極的に利用し、属性間の関係から派生する機能的な合成規則や物理的制約を満たすように3次元CGコンテンツを計算機に自動生成させ、それらを対話型進化計算に基づく手法で最適化することにより、ユーザの必要とする3次元CGコンテンツを簡便に効率よく生成する基盤技術とツールの研究開発を行うものである。具体的な研究項目は、(1)3次元形状データおよびモーションデータの検索技術の研究開発、(2)3次元形状データおよび3次元CGシーンの編集生成技術の研究開発、(3)モーションデータおよび3次元CGアニメーションの編集生成技術の研究開発、(4)3次元ソフトウェア部品の自動合成技術の研究開発、(5)3次元CGコンテンツ作成およびユーザ評価実験の5つである。(1)については、対話型進化計算を用いた形状データ検索システムを開発した。(2)に関しては、実世界の家具の配置情報とそれらの機能から生ずる制約を満たし、かつ、対話型進化計算によりユーザの嗜好を反映した3次元CGシーンを生成するシステムの開発を実施している。また、体積を保存した形状変形制御アルゴリズムを開発した。(3)については、対話型進化計算と逆運動学を用いたモーションデータの生成システムを開発した。また、対話型進化計算を用いて動きや役割も考慮したゲームキャラクタの生成システムの開発を実施している。(5)に関しては、具体的な応用システムとして、デンタルトレーニングシステムの開発と運動トレーニングのためのシリアスゲームを開発した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
具体的な研究項目は、(1)3次元形状データおよびモーションデータの検索技術の研究開発、(2)3次元形状データおよび3次元CGシーンの編集生成技術の研究開発、(3)モーションデータおよび3次元CGアニメーションの編集生成技術の研究開発、(4)3次元ソフトウェア部品の自動合成技術の研究開発、(5)3次元CGコンテンツ作成およびユーザ評価実験の5つである。 平成23年度は、(1)について、1件の査読付き国際論文誌論文、1件の査読付き著書チャプター論文を発表した。(2)については、2件の国内発表と1件の査読付き国際会議論文を発表した。 平成24年度は、(1)について、1件の査読付き国際会議論文を発表した。(2)については、1件の査読付き国際会議論文の採択が決定している。(3)について、2件の査読付き国際会議論文を発表した。また、1件の査読付き国際会議への投稿を予定している。(5)について、2件の査読付き国際会議論文を発表した。 以上のように平成23~24年度は十分な研究業績があり、当初の計画通りに研究が進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
平成23年度および平成24年度の未完了の研究項目を継続して行うとともに、各研究項目について以下のように研究開発を進める。(1)については、形状データを分割して分割された形状データの合成部品として検索が行えるアルゴリズムとシステムを開発する。モーションデータについても同様に、基本モーションに分割を行い、分割された基本モーションの連結データとしてモーション検索が行えるアルゴリズムとシステムを開発する。(2)については、種々の制約を満たすように変形する対話型形状変形制御アルゴリズムを開発する。(3)については、対話型進化計算と逆運動学を用いたモーション生成システムを開発しているが、今後は、ユーザ評価による問題点の抽出とその改善を行う。(4)に関しては、研究基盤システムであるインテリジェントボックスを用いて開発された3次元CG応用ソフトウェアが数多くあり、合成された3次元機能オブジェクトが多数存在する。これら既存の3次元機能合成オブジェクトの合成情報や機能合成する際のユーザ操作履歴情報から、各部品の組み合わせ可能パターンを学習し、合成可能制約データベースを構築することにより、3次元ソフトウェア部品の自動生成を目指す 。また、対話型進化計算の単純な選択操作を用いて最適化することにより、ユーザが必要とするデータを簡便に生成できるツールを開発する。(5)については、応用として3次元CGを用いた教材コンテンツの開発を行い、その過程において有用性等のユーザ評価を行う。有用性を明らかにするとともに、発見された問題点の改善を図ることにより、真に有用なツールの開発を目指す。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本申請研究は実際にプログラム開発を行いながら進めるものであるため、開発用のPCを購入する計画であったが、既存設備で十分な状況となったため、平成24年度には、設備購入を行わなかった。そのため、次年度使用額408,899円が生じたものである。平成25年度に請求する研究費700,000円と合わせると1,108,899円となる。平成25年度の研究費の使用計画は以下の通りである。既にプログラム開発のための設備は十分であるため、設備備品の購入は行わない。また、研究成果の発表に重きをおくため、国内旅費として300千円(3回@100千円(東京:2泊3日))程度必要である。本申請研究では、積極的に国際論文として研究成果を発表するため、外国旅費として700千円(2回@350千円(欧州))程度必要である。さらに、3年目である平成25年度末に報告書を作成するため、100千円の報告書印刷費が必要である。
|