研究課題/領域番号 |
23500154
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
立山 義祐 慶應義塾大学, システムデザイン・マネジメント研究科, 助教(研究奨励)(非常勤) (30543558)
|
キーワード | バーチャルリアリティ / 没入ディスプレイ / ドライビングシミュレータ / 自動車運転観察 |
研究概要 |
没入ドライビングシミュレータのハードウェアに関して平成23年度に引き続き改良を行った。いくつかの予備実験を実施していく過程で、平成23年度に考案した光学式位置計測装置のキャリブレーション手法は、一つ一つの実験の前に行うには非常に手間がかかりすぎる割に、始めに置く原点プレート用の台の設置位置精度があまり高くなく、結果的に労力に対する効果が低いことが判明した。そこで多少精度を犠牲にしつつ、より簡便で、かつ従来の磁気式位置センサよりは精度の高いキャリブレーション手法を考案した。 また、VR酔いの軽減手法の検討を行った。没入ドライビングシミュレータにおいて酔いの感覚が生起される状況の一つにブレーキ操作による車両停止がある。車両停止操作によって、完全停止した瞬間に、目眩のような感覚が生起されることが観測されていた。高齢者実験には、この目眩効果を押さえる必要があると考えられるが、そのためにはまず、この目眩感覚を安定して得る必要があると考えた。そこで平成23年度までは、ドライビングシミュレータの本番環境とは別にベクション(自己移動感覚)が生まれることが期待できる人工的なコンテンツを作成し、実験観察に必要なパラメタ調整を行うことができる環境の構築を目指した。しかし期待していた目眩効果を得る事ができなかった。そこで本年度は、平成23年度と同様、人工的な実験コンテンツと共に、本番コンテンツを使用したテストを行った。しかしそこでも、安定して目眩感覚が得られる状況を特定できなかった。今後の実験により高齢者にとっても目眩が生起されないのであれば、問題ないと考える事も可能となることも考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
VR酔いの軽減手法の検討について、今のところ再現性の確保ができていないものの、実験環境は整いつつある。
|
今後の研究の推進方策 |
いくつかの予備実験によって、没入ドライビングシミュレータの運転操作について、特にハンドル操作について、慣れが必要であることがわかった。始めに計測記録を行わない回を設けているものの、使用している本番コースは非常に難しいコース(狭路右折)となっていて、いきなり実際のコースでの操作チュートリアルは難しい事がわかった。そこで、より易しいチュートリアルコースを用意することを計画している。 また、目眩効果の生起について、検討を行う。プロジェクタの更新頻度85Hzに対して車両速度が速すぎて仮現運動が生起できていない可能性がある。遠くのオブジェクトも視認できる人工的コースを作成して、自己移動速度が高い時でも、その移動が感じられる環境を整える。 また、実際のコースで目眩が生起されないのであれば、そこでの実際の実験を検討することも考えられる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
繰越金発生は、今まで行ってきたいくつかの予備実験の結果、VR酔い再現性の問題が判明したため、最終的な実験装置の仕様の決定に至らなかったためである。 平成25年度は、実験装置の仕様を確定させて改良を実施する予定である。予算は装置の改良、高齢被験者の実験参加謝金、外部発表等に使用する予定である。
|