研究課題
本研究は一般に普及するスマートフォンやタブレットPC等のタッチパネルを視覚障害者が容易に利用可能となるように,触れることと音とを組み合わせたシンプルな方法を基礎に,直観的なグラフィック理解を助けるための情報補償技術の確立を目指している.研究者のグループではこれまで,(1)点字上級者・中級者・初級者別に図形認識を行った結果,点字習熟度が指の動かし方に強い影響を与えるが,提案者の開発した手法は初級者・上級者とも同等の成績であったこと,(2)その手法に基づき実装した神経衰弱ゲームのクリアまでの時間・めくる回数が20代の晴眼者を上回った全盲者が存在すること,を確認した.本年度はさらにこれらの結果を端緒とし,3D図形の提示と評価,マルチタッチディスプレイでの図形提示と評価,画像処理と連動した音楽作曲アプリケーションの実装と評価を行った.
2: おおむね順調に進展している
1年目である23年度と2年目の24年度の2年間で,<Sub-1> 視覚障害者の図形認識のための指の動き分析によるタッチパネル触知特性調査研究<Sub-2> 視覚障害者のタスク達成度とインタラクション履歴分析による空間認知特性調査研究を,実際にインタフェースを実装し,評価することを通して達成する予定である.23年度は,3D図形の提示と評価,マルチタッチディスプレイでの図形提示と評価,画像処理と連動した音楽作曲アプリケーションの実装と評価を通して,上記2つのサブテーマにチャレンジし,それぞれ国際会議発表や投稿論文化可能な成果が得られた.本年度は新しい研究に着手するとともに,これらの成果の発表に努めたい.
2年目にあたる24年度は,<Sub-1> 視覚障害者の図形認識のための指の動き分析によるタッチパネル触知特性調査研究<Sub-2> 視覚障害者のタスク達成度とインタラクション履歴分析による空間認知特性調査研究について引き続き,実際にインタフェースを実装し,評価することを通して達成する予定である.新しいアプリケーションを提案するとともに触知特性,空間認知特性に対する新しい仮説に基づいた図形提示手法を考案したい.
昨年度の成果の国際会議発表旅費や参加費,論文投稿費用を中心に,新しいアプリケーションを実装するための費用,評価のための謝金に使用したい.
すべて 2011 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
International Journal of Innovative Computing, Information and Control
巻: Vol.7, No.5(B) ページ: pp.2897--2906
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