研究課題/領域番号 |
23500155
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
矢入 郁子 上智大学, 理工学部, 准教授 (10358880)
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キーワード | ヒューマンコンピュータインタラクション / アシスティブテクノロジー / 視覚障害者 / タッチパネル / タンジブル |
研究概要 |
本研究は,一般に普及するスマートフォンやタブレットPC等のタッチパネルを視覚障害者が容易に利用可能となるように,触れることと音とを組み合わせたシンプルな方法を基礎に,直感的なグラフィック理解を助けるための情報補償技術の確率を目的としている.研究者のグループではこれまでに音楽を利用したタッチパネルインタフェースを用いることによって,(1)タッチパネル上に提示されたグラフィックを全盲者が,点字の習熟度に関係なく,初心者も同等の成績で認識可能であること,(2)神経衰弱ゲームのクリアするまでの時間・めくる回数が晴眼者を上回る成績を出す事のできる全盲者がいること,(3)神経衰弱ゲームのマルチタッチとシングルタッチのタッチパネルの比較において,クリアするまでの時間・めくる回数に差はないが,触り方が多様となることで心地よさが増すことが確認された.また,振動デバイスとタッチパネルを用いた視覚障害者向け3D図形の提示技術を実装し,その効果を実験を通して確認するとともに,視覚障害者と晴眼者とが机上の日用品を用いて共同作曲を楽しめるシステムの実装と評価についても行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度と24年度の2年間で,申請時の計画の通りに, <Sub-1>視覚障害者の図形認識のための指の動き分析によるタッチパネル触知特性調査研究, <Sub-2>視覚障害者のタスク達成度とインタラクション履歴分析による空間認知特性調査研究 を実際に,インタフェースを実装し,視覚障害者による評価実験を通して達成し,それぞれ国際会議発表や投稿論文化可能な成果が得られた.本年度は新しい研究に着手するとともに,これらの成果の発表に努めたい.
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今後の研究の推進方策 |
23年度と24年度の2年間の成果をもとに,視覚障害者のタッチパネル利用に配慮した,インタラクティブコンテンツ情報補償方法の解明を目指す.具体的には,複数の視覚障害者向けのタッチインタフェースもしくはタンジブルインタフェースを用いた,インタラクティブコンテンツの実装と評価実験を通して,視覚障害者のためのCHI情報補償技術の確立を目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度の成果の国際会議発表旅費や参加費,論文投稿費用を中心に,新しいアプリケーションを実装するための費用,評価のための謝金に使用したい.
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