研究課題/領域番号 |
23500179
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
平野 章二 島根大学, 医学部, 准教授 (60333506)
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キーワード | 知識発見とデータマイニング |
研究概要 |
本年度は,オーダ時系列の比較分類法に関する研究開発に取り組んだ。前年度に実施したオーダの統計的性質に関する基礎的分析を踏まえ,適用頻度及び推移頻度から「典型らしさ」を指標化して系列を比較する方法を考案した。提案法では,全ての事例の情報を元に,各フェーズにおいて各オーダ項目がどの程度の頻度で適用されているか,また,隣接するフェーズ間で,どのオーダ組が連接関係として多用されているかを頻度ベースで集計し,これらをもとに各事例のオーダ系列の典型らしさを評価する。さらに,この評価指標をもとに,事例のクラスタリングを行い,類似した事例からなるグループを構成する。このようにして構成されたグループにおいて,最終的に最も評価指標の高い事例のオーダ系列を骨格候補とする。これにより,適用率の低いオーダに起因する差異を抑えつつ,データに複数のプロセスが内包される場合もそれぞれをまとまりとして表出させることを目指すものである。耳鼻科系疾患158例への適用実験では,手術フェーズの差異やオーダ構成のシンプルさを反映したクラスタを生成することができ,また,典型さ指標値の高いオーダにおいては,看護,記載など適用率の高いオーダが過不足少なく含まれるなど,比較的コアなプロセスを獲得できる可能性が示された。以上の成果を平成25年6月開催の人工知能学会全国大会にて発表する予定である。また,非対称な相違度行列に対しても適用可能なクラスタリング法として,双方向リンクと識別不能性に着目した階層的分類法を考案し,その結果をJournal of intelligent information systemsに投稿,掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究業績の概要に示したとおり,第2期(平成23年10月~24年9月)に計画していたオーダの統計的性質に関する分析,時系列の表現方法と比較方法に関する研究,テストデータを用いた実験は概ね順調に進展している。現在は,開発した典型らしさに基づく比較法のプロトタイプに継続的な改良を加えつつ,第3期(平成24年10月~25年9月)に計画している類型構築・可視化に関する研究開発に取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き第3期及び第4期に計画されている研究開発を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は学内業務の都合により当初予定していた学会発表等が困難であったことから旅費相当分を繰り越して次年度に使用することとした。次年度において特に国際会議を中心とした成果発表を積極的に行う予定である。
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