研究課題/領域番号 |
23500181
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
小林 邦和 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (40263793)
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研究分担者 |
大林 正直 山口大学, 理工学研究科, 教授 (60213849)
呉本 尭 山口大学, 理工学研究科, 助教 (40294657)
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キーワード | マルチエージェント / 強化学習 / 意図推定 / 行動予測 / 注意生成 / 脳情報処理 / ロボット / 機械学習 |
研究概要 |
平成24年度は,主に(1) 脳情報処理模倣型統合システムの開発,(2) ハードウェアシステムの構築,(3) ロボット実験による検証を行った.研究体制を含む研究計画の詳細は,以下の通りであった. (1) 脳情報処理模倣型統合システムの開発 平成23年度に提案した各種モデル(状態・行動予測モデル,政策・意図推定モデル,情動生成モデル)と学習・推論システムを統合し,マルチエージェントシステムにおける協調行動の創発を指向した脳情報処理模倣型統合システムを開発した.同時に計算機シミュレーションにより,本システムの性能評価を行った.本システムでは,基本技術として,入力情報の特徴抽出と情報圧縮を行う自己組織化写像マップ,部分情報から推論を行うベイジアンネットワーク,動的システムの同定を行う相互結合型ニューラルネットワークを用いている.【担当:小林,大林】 (2) ハードウェアシステムの構築 ブルートゥース通信という通信方式を用いて,ロボットの入出力制御を行うために必要となる無線通信システムと基幹制御システムの構築を行った.【担当:小林】 (3) ロボット実験による検証 開発した統合システムをロボット環境で実装し,その基本的な性能評価と検証を行った.その際,ロボットのセンサー(知覚)入力とモータ(行動)出力という時系列データの分節化を行う手法を考案し,センサーとモータの要素分割を行った.これは基本行動を効率的に学習するために必要となるものであった.【担当:小林,呉本】
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的では,マルチエージェントシステムが抱える(1) 状態空間の爆発問題,(2) 同時学習問題,(3) 不完全知覚問題という3つの主要課題に着目し,それらの解決策を提示するというものであった. 研究開始の初年度となる平成23年度は,エージェントの学習に関して,これまで着目されていなかった,エージェントが自己の基本行動様式を獲得する自己学習と他者との協調行動様式を獲得する他者学習に陽に区別することを提唱した.同時に,マルチエージェントシステムにおいて,他者の状態や行動の予測を行う状態・行動予測モデル,他者の行動政策の推定を行う政策推定モデル,他者の行動意図の推定を行う意図推定モデル,複数の感覚刺激の中から特定の刺激のみに着目する注意生成モデル,ヒトの情動を模倣した情動生成モデルをそれぞれ構築した. 引き続き,今年度は研究2年目にあたり,初年度に構築した各種モデル(状態・行動予測モデル,政策・意図推定モデル,注意・情動生成モデル)から構成される脳情報処理模倣型統合システムを提案し,計算機シミュレーションにより提案システムの基本的な性能評価を行い,有効性を示した.同時に,ブルートゥース通信という通信方式を用いて,ロボットの入出力制御を行うために必要となる無線通信システムと基幹制御システムの構築を行った.更に,開発した統合システムをロボット環境で実装し,その基本的な性能評価と検証を行った. 上記達成度の判定理由として,平成24年度に得られた成果を書籍3冊,学術論文5編,国際会議論文7編,国内会議論文10編という形で発表することができたことが挙げられる.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は研究最終年にあたり,研究の総仕上げを行う.主に(1) 脳情報処理模倣型統合システムの改良,(2) ハードウェアシステムの改良,(3) ロボット実験による提案システムの詳細な性能検証を行う.研究体制を含む研究計画の詳細は,以下の通りである. (1) 脳情報処理模倣型統合システムの改良 平成23年度に提案した各種モデル(状態・行動予測モデル,政策・意図推定モデル,注意・情動生成モデル)を提案し,平成24年度にそれらのモデルと学習・推論システムを統合し,マルチエージェントシステムにおける協調行動の創発を指向した脳情報処理模倣型統合システムを開発した.今年度は,ロボット実験で明らかとなった各種問題点を解消するため,計算機シミュレーションも併用し,提案システムの改良を行う.提案システムには,基本技術として,入力情報の特徴抽出と情報圧縮を行う自己組織化写像マップ,部分情報から推論を行うベイジアンネットワーク,動的システムの同定を行う相互結合型ニューラルネットワークを用いている.【担当:小林,大林】 (2) ハードウェアシステムの改良 平成24年度は,ブルートゥース通信という通信方式を用いて,ロボットの入出力制御を行うために必要となる無線通信システムと基幹制御システムの構築を行った.しかし,無線通信のトラブル(混線等)が生じたため,無線LAN方式による無線通信へ変更する【担当:小林】 (3) ロボット実験による検証 開発した統合システムを改良を行ったロボット環境で実装し,様々な側面からその性能評価と検証を行う.その際,ロボットのセンサー(知覚)入力とモータ(行動)出力という時系列データの分節化を行う手法を考案し,センサーとモータの要素分割を行う.これは基本行動を効率的に学習するために必要となる.【担当:小林,呉本】
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は研究最終年にあたるため,研究機器等の備品を購入する計画はない. 旅費として,成果発表旅費(電気学会部門大会,北見市,2名1回),成果発表旅費(電気学会システム研究会,上越市・東京都・大阪市,1名3回),成果発表旅費(電気学会全国大会,愛媛大学,3名1回),成果発表旅費(国際会議AROB2013,別府市,2名1回),外国成果発表旅費(国際会議ICONIP2013,韓国,1名1回)を計上している. 更に,その他として,研究成果投稿料(電気学会論文誌2件)と学会参加費(電気学会部門大会2名2件,電気学会全国大会2名2件)を計上している.
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