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2011 年度 実施状況報告書

リフティング複素ウェーブレットに基づくモバイル図鑑検索システムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 23500183
研究機関九州大学

研究代表者

高野 茂  九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (70336064)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード画像認識 / 情報システム / 一般物体認識 / 類似画像検索 / ウェーブレット
研究概要

今年度は、リフティングウェーブレットを拡張したリフティング複素ウェーブレットフィルタ理論の構築に関する研究を遂行し、画像の局所特徴量を抽出するアルゴリズムを開発した。既存のリフティングウェーブレットフィルタは自由パラメータを持つ双直交ウェーブレットである。双直交ウェーブレットの分解アルゴリズムは入力信号・画像をダウンサンプリングするため、それらのシフト変化に影響を受ける問題がある。そこで、本研究では、リフティングウェーブレットフィルタを、実数部と虚数部をもつ複素ウェーブレットフィルタに拡張し、入力信号・画像のシフト・回転に不変な特徴を抽出するリフティング複素ウェーブレット変換(LCWT)を提案した。また、LCWTを画像に適用し、画像の特徴点であるキーポイントを検出するアルゴリズムを考案した。提案手法では、ウェーブレット高速計算アルゴリズムにより効率よくキーポイントが検出することができる。実際に、提案するキーポイント検出アルゴリズムに基づく花画像検索システムを構築し、小学生を対象とした実証実験および市民講座を実施した。その研究成果の一部は、戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)の第7回成果発表会において発表した。さらに、検出されたキーポイントにおけるSIFT特徴量を特徴ベクトルとして記述するアルゴリズムを開発し、ロボットビジョンによる新規物体認識へと応用した。本研究成果の一部を、国際会議ICDM2011のワークショップにおいて発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は当初の計画通りに、リフティング複素ウェーブレット変換の理論を構築した。実際に、類似画像検索システムおよびロボットビジョンの物体認識の研究へと応用し、その研究成果を国際ワークショップにおいて発表することができた。さらに提案手法によるモバイル端末による図鑑検索システムを構築し、実際に小学生を対象とした実証実験を行うなど社会的貢献を果たしている。

今後の研究の推進方策

今年度開発したLCWTは、調整可能な自由パラメータを含んでおり、アプリケーションに対して適応的に特徴抽出フィルタを設計することが可能である。今後の研究では、類似画像検索の精度が向上するようにパラメータを決める手法を開発する。画像のクラスは階層的に表現されており、システムとしてはユーザの要望に応じたレベルの認識結果を返すことが重要である。本研究では、画像クラスの大分類や小分類ごとに適切なリフティングウェーブレットフィルタを設計する手法を提案する。新しく設計されたリフティングウェーブレットフィルタを画像に適用して得られる画像の特徴空間は、クラス間分散が最大となり、クラス内分散が最小となる。分類したいクラスの階層ごとにリフティングウェーブレットフィルタを設計し、システム全体の物体認識の精度が向上することを実験により示す。実証実験を行うために、モバイル端末より類似画像検索を実行可能なモバイルアプリケーションの開発を行う。これらの研究は国内外の学会において発表を行う。

次年度の研究費の使用計画

次年度は、モバイル端末による図鑑検索の実証実験を行う予定である。そのため、6台のタブレットPCを購入する。またモバイルアプリケーション開発のために、学生アルバイトを雇用する。さらに研究成果を国内外において発表するために旅費が必要となる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Simulating Swarm Robots for a Collision Avoidance Problem based on a Dynamic Bayesian Network2011

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Hirai, Shigeru Takano, Einoshin Suzuki
    • 雑誌名

      Proc. Tenth European Conference on Artificial Life (ECAL 2009), Part II, LNCS 5778, Springer-Verlag

      巻: LNCS 5778 ページ: pp. 416-423

    • 査読あり
  • [雑誌論文] pplication Framework for Data Broadcast Contents Integrated with Web Services on Digital TV2011

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro Okada and Shigeru Takano
    • 雑誌名

      Proc. of 15th Int. Conf. on Knowledge-Based and Intelligent Information and Engineering Systems (KES 2011), Andreas Konig, et al.(Eds.):KES 2010

      巻: LNAI 6884 ページ: pp. 63-72

    • 査読あり
  • [学会発表] Human Detection by a Small Autonomous Mobile Robot2012

    • 著者名/発表者名
      Kouhei Takemoto, Shigeru Takano, and Einoshin Suzuki
    • 学会等名
      Extraction et Gestion des Connaissances (EGC'2012), pp. 531-536.
    • 発表場所
      Bordeaux, France
    • 年月日
      2012年2月2日
  • [学会発表] On-board Evolutionary Algorithm and Off-line Rule Discovery for Column Formation in Swarm Robotics2011

    • 著者名/発表者名
      Asuki Kouno, Jean-Marc Montanier, Shigeru Takano, Nicolas Bredeche, Marc Schoenauer, Michele Sebag, and Einoshin Suzuki
    • 学会等名
      Proc. 2011 IEEE/WIC/ACM International Conference on Intelligent Agent Technology (IAT 2011), pp. 220-227.
    • 発表場所
      Lyon, France
    • 年月日
      2011年8月24日
  • [学会発表] New Object Detection for On-board Robot Vision by Lifting Complex Wavelet Transforms2011

    • 著者名/発表者名
      Shigeru Takano and Einoshin Suzuki
    • 学会等名
      roc. Eleventh IEEE International Conference on Data Mining Workshops (ICDMW 2011), pp. 911-916.
    • 発表場所
      Vancouver, Canada
    • 年月日
      2011年12月11日
  • [学会発表] New Object Detection for On-board Robot Vision2011

    • 著者名/発表者名
      Shigeru Takano and Einoshin Suzuki
    • 学会等名
      RIT - Kyushu University Workshop on Data Mining and Media Processing
    • 発表場所
      Toulouse, France
    • 年月日
      2011年11月24日
  • [学会発表] 専門家の知識と群衆の叡智を融合する次世代図鑑検索システムの研究開発2011

    • 著者名/発表者名
      高野茂
    • 学会等名
      戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE) 第7回成果発表会(ICT イノベーションフォーラム 2011)
    • 発表場所
      幕張メッセ国際会議場
    • 年月日
      2011年10月4日

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公開日: 2013-07-10  

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