研究課題/領域番号 |
23500185
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
久保山 哲二 学習院大学, 付置研究所, 准教授 (80302660)
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研究分担者 |
福元 健太郎 学習院大学, 法学部, 教授 (50272414)
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キーワード | ネットワーク分析 / グラフ構造 / 公共事業入札 |
研究概要 |
前年度に引き続き、公共事業入札データを対象に、業者間の関係を時系列グラフ構造とみなし分析するための手法の設計、および、公共事業入札データベースの構築作業を行った。 時系列グラフ構造の分析については、前年度用いた編集距離による差分検出手法はグラフ構造の大局的な変化の検出には有効であった。しかし、局所的な変化の抽出、および、断続的に形成されるコミュニティーの検出については、新たな手法が必要であることもわかった。そのため、今年度は、局所的な変化の抽出と、大量データから変化をもたらす特徴を抽出するための特徴選択手法について研究開発を進めた。局所的な変化の検出では、まず、ネットワークコミュニティーの指標であるモジュラリティを用いて階層的なコミュニティの抽出を行った。次に、ネットワークコミュニティの階層構造を木構造とみなして、時系列木構造の変化を、無順序木のパターンマッチング手法をもちいて追跡する手法を提案した。一般に柔軟な無順序木のパターンマッチングは、一般に計算困難であるが、多項式計算可能なアルゴリズムを用いた。さらに、木構造を対象としたカーネル関数(木カーネル)によるネットワーク構造の変化検出を目指し、多種多様な木カーネルに対する性能評価を行った。また、特徴選択手法として比較的新しく高速な手法である整合性に基づく手法CWCに着目し、新しい探索手法を組み込み性能評価を行った。 公共事業入札データについては、全国の自治体への情報開示請求等の手段で収集を行い、電子化容易なものについては、SQLデータベースの構築を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アルゴリズムの設計については、設計の方針変更はあるものの、概ね目標通り遅滞なく進んでいる。しかし、公共事業入札データは、様々な様式や媒体で収集しており、データ洗浄に大きなコストがかかるため、データベース構築に遅れが生じている。この遅れにともない、暫定的に異なる分野の代替データを用いて分析を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
公共入札事業データのSQLデータベースの構築がある程度完了したため、実データによるある程度大規模な分析を実施し、その結果から、さらにアルゴリズムの改良をすすめる予定である。また、同じ入札事業に入札している業者間を辺で繋いだグラフ構造のみでなく、公共事業と入札業者との二部グラフについても、構造の時系列変化を分析する予定である。また、本研究の分析結果の解釈が容易となるように、可視化手法についても同時に開発を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
国際会議での研究成果発表のための出張旅費、および、国内での成果発表と関連研究者との打ち合わせのための出張旅費、ネットワー ク構造分析のためのPCおよび周辺機器購入のための研究費支出を予定している。
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