研究課題/領域番号 |
23500186
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
福島 康弘 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (00384719)
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研究分担者 |
塚田 稔 玉川大学, 付置研究所, 客員教授 (80074392)
津田 一郎 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (10207384)
山口 裕 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (80507236)
相原 威 玉川大学, 工学部, 教授 (70192838)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 海馬 / 情報処理 / カントールコーディング / 学習 / 全体と部分 / CA1 / 時空間学習則 |
研究概要 |
本研究の目的は学習と記憶の情報表現について、『部分と全体の情報をどのように表現しているのか』に着目して生理実験を実施し、その情報表現の基本原理を抽出し、その原理に基づくモデルを構築することである。具体的には、(1)海馬の文脈配列情報(時系列情報)がフラクタルコードとしてCA1に記録されているかどうかを生理実験とモデルで検証する。(2)海馬ではボトムアップ(部分情報)の時空間学習則(nonHEBB)とトップダウン(全体情報)のHEBB 則の相互作用によって強化学習がなされるとの仮説を単独ニューロンの空間情報処理に注目して、生理実験とモデルによって検証する。平成23年度に関しては特に(1)に注目し、研究を進めた。研究代表者である福島が研究分担者である相原および指導下の大学院生と共同で、生理学実験を担当した。玉川大学にある高速アンケージング多点刺激装置付の共焦点レーザー顕微鏡装置を利用し、海馬CA3-CA1 の神経回路において、カントールコーデングの可能性を海馬スライス標本を用いた実験系での検証を開始した。特定順序の時空間系列パターンで刺激を作成し、海馬CA1 錐体細胞の樹状突起上の4カ所のシナプス相当領域に刺激をおこない、時空間配列情報が細胞膜上にどのように時空間的な変化を伴い記載されていくかを記録した。現在は、まず、可塑性の起きない状態(定常状態)でのデータを取得している段階である。データ解析は研究代表者である福島が、研究分担者である津田、山口と共同で行っている。現在、得られた実験データから解析を開始した状況である。この実験によって、海馬CA1において、定常状態において時空間配列情報が部分と全体の情報としてどのように記憶されていくかというコーディングのメカニズムを明らかにすることが可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の所属異動に伴う生理実験の主実験者の変更(実験装置の移動ができないため)、主に使用する共焦点レーザー顕微鏡システムの故障により、第一段階での実験結果を得ることが遅れた。つい先日、ようやく1例目の実験データを得ることができ、急いで解析をすすめている状況である。現在、実験データのn数を増やすべく研究を進めている最中である。
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今後の研究の推進方策 |
主に実験をおこなう玉川大学相原威教授指導下の大学院生と共に、実験をおこない、n数を増やしていくと同時に、北大のグループと共に実験データの解析を進め、計算機実験と対応させながら研究を推進していく。また、現在、定常状態でのデータしか取っていないが、今後は学習による変化を見ていくため非定常状態での実験データも順次取得していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験環境の整備(時空間系列刺激の作成)および実験装置の修理対応のため、研究代表者が何度か玉川大学に出向いて研究状況の整備と打ち合わせをおこなったため、予定外の支出が生まれ、予定していた解析用のコンピュータの購入が遅れた。今年度は解析用のコンピュータの購入をおこない、解析も進めていく予定である。
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