研究課題
本研究の主課題は,「選択的注意に基づく物体の学習と認識」と「人の物体への働きかけ動作の学習と認識」の2つであり,本研究ではそれらのための確率的手法の構築と実験による有効性の評価を行った.「選択的注意に基づく物体の学習と認識」に関しては,前年度までの実績状況報告書に記したように,選択的注意にガイドされた動的マルコフ確率場での物体セグメンテーションと前景・後景物体セグメントから構成される物体コンテキストの体制化の手法,及び確率潜在コンポーネント木の学習とブースティングによる特徴選択に基づくコンテキストの中での物体認識の手法を構築し,画像データベースを用いてその有用性を明らかにした.「人の物体への働きかけ動作の学習と認識」に関しては,主に最終年度に研究を行い,物体に働きかける物体指向のアクションとそのコンテキストを与えるアクティビティについて,それらの視覚的動き特徴を表すクラスとその解釈を与える格3つ組の意味素とからなる確率的意味ネットワークACTNETを確率潜在コンポーネント解析に基づき学習する手法と,それを用いてアクションとアクティビティを同時に関連付けて認識・推論する手法を構築した.そして,Kinect センサーでキャプチャした両手の物体指向動作のRGB-Dビデオクリップを用いて,学習されたACTNET によりアクションとアクティビティの認識が可能なこと,特に,アクション認識のあいまいさが物体に関する追加情報を用いた推論により解消すること,コンテキストを与えるアクティビティとの共起によりアクションの認識が向上することを示して,本手法の有用性を明らかにした.これら2つの研究成果は,人と物体のインタラクションの理解のための基盤技術となるもので,日常生活空間において人を自律的に支援するロボットを実現する上で不可欠の機能を提供するものである.
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Lecture Notes in Computer Science : Advances in Visual Computing
巻: Vol.8033 ページ: 416-426
10.1007/978-3-642-41914-0_41
Journal of Intelligent Learning Systems and Applications
巻: Vol.5,No.2 ページ: 123-133
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