研究課題
本研究では,ネット上の仮想三次元空間であるメタバースのセカンドライフ(Second Life,以下SL)での体験学習を支援するための,「移動・行動分析」,及び「体験集約」に関する手法の確立に取り組んできた.当該年度の主な活動は以下の通りである.1.「移動・行動分析」に関しては,観覧展示物の特定及び予測に着目し,それぞれのための手法を提案した.前者では,観覧者(学習者)の状態を「移動」と「観覧」に分け,観覧の状態において実際に観覧した展示物をSupport Vector Machineを用いて特定する.それに対して,後者では,観覧展示物の履歴から次にどの展示物を観覧するかをN-GramとKneser-Ney Smoothingを組み合わせて予測する.予備評価により各手法の技術課題を特定した.2.「体験集約」に関しては,前年度まで開発してきた体験履歴からの漫画自動生成システムに対して,コマ割り及びカメラワークの機能を強化した.具体的には,映画の撮影技法に基づいた,対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユーザの好みに適したコマ割り及びカメラワークの決定法を開発し,予備評価によりこれらの手法を検証した.その他,2012年11月26日にはシンガポールにてWorkshop at SIGGRAPH ASIA 2012において発表件数14件のComputer Gamingのトラックをチェアし,同トラックにおいて「Summary of Virtual Museum Visit Experience in Comic Forms」と題した招待講演を実施した.数名の参加者から,本研究話題に関する貴重な意見を得た.また,同トラックで発表された論文からなるACM Computer in Entertainmentの特集号をAssociate Editorとして企画し編集中である.
2: おおむね順調に進展している
いずれのテーマも順調に研究成果(手法の提案及び予備評価)を出しており,研究目的で予定していた海外でのワークショップ開催及び関連研究者からの意見交換集約も無事に実施できた.
2つのテーマとも海外の共同研究者及び協力者と連携しながら,これまでの研究成果を発展させていく.今後の具体的な活動は次の通りである.1.「移動・行動分析」に関しては,学習者のための情報推薦システムを開発する予定である.2.「体験集約」に関しては漫画自動生成システムの高速化及び出力結果の品質向上を図る予定である.
研究費は主に最新技術の情報収集のための学会参加,システム開発の手伝い(謝金),システム評価のための高スペックPCの購入,に使用する予定である.平成24年度に予定していた一部の情報収集のための出張が日程の都合上,キャンセルとなった.情報収集に加えて研究成果発表の目的で次年度に旅費を使用したい.
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (4件)
電子情報通信学会論文誌D
巻: Vol.J96-D, No.3 ページ: 432-440
International Journal on Artificial Intelligence Tools
巻: vol.21,no.2 ページ: 1240008
10.1142/S0218213012400088
Proc. of the Innovations in Information and Communication Science and Technology IICST 2012, Second Postgraduate Consortium International Workshop, Tomsk, Russia
巻: ‐ ページ: 62-66