研究課題/領域番号 |
23500194
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
木村 昌弘 龍谷大学, 理工学部, 教授 (10396153)
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研究分担者 |
斉藤 和巳 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (80379544)
大原 剛三 青山学院大学, 理工学部, 准教授 (30294127)
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キーワード | 社会ネットワーク分析 / 情報拡散モデル / オピニオン形成モデル / 学習アルゴリズム / 変化点検出 / データマイニング / 複雑ネットワーク科学 |
研究概要 |
(1) 価値重みつき混合投票者(VwMV)モデルとその学習法に対して、比較的短期間のオピニオン拡散データから、近い将来のオピニオンシェアが正しく予測できることを、実験で示した。また、局所オピニオンシェアが平均オピニオンシェアにより近似可能である場合に、「1)反多数派オピニオニストが存在しないならば、最大の価値重みをもつオピニオンが、最終的にはオピニオンシェアにおいて一人勝ちする。2) 反多数派オピニオニストがある程度存在するならば、必ずしもそのようなことは起こらない。3)どちらの場合においても価値重みが一様であるならば、任意のオピニオンがオピニオンシェアにおける最終的勝者となりうる。」ということを、理論的に証明した。 (2) 人々のオピニオンが、彼ら自身や彼らの友人たちのオピニオン履歴によりどのように影響されるのかを論じるために、オピニオンダイナミクスの数理モデルとして、通常の投票者モデルに時間的減衰関数を組み込んだ、TDV モデルと呼ばれる新たな投票者モデルを構築し、そのパラメータを観測されたオピニオン拡散データから学習する効率的手法を提案した。さらに、TDV モデルにおける減衰関数モデルの候補が与えられたとき、観測データに最も適合する減衰関数モデルを選択する効率的手法を提案した。特に、典型的な減衰関数モデルとして、指数的減衰関数、べき乗的減衰関数、減衰なしの3つを採用し、実験評価した。まず、人工データを用いた実験で、提案法の有効性を実証した。次に、化粧品クチコミサイトからのオピニオン拡散の実データを分析し、ほんどのブランドがべき乗的減衰関数をもつTDV モデルに従うことを示した。 (3) ソーシャルメディアデータに対して、情報拡散のバースト期間の検出法および、アクティビティからの未観測リンクの予測法を提案し、実験により有効性を実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
社会ネットワーク上のカルチャーダイナミクスモデルとして、情報拡散やオピニオン形成におけるいくつかの数理モデルとそれらの学習法を提案し実データで評価した。また、オピニオンシェアの予測、オピニオン拡散における時間減衰ダイナミクスの分析、バースト期間の検出、未観測リンクの予測など、知識発見タスクへの応用も進めた。そして、研究成果をいくつかの論文として発表した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、さらなる実データの収集と分析を行い、それに基づいて数理モデルの改良とパラメータ推定法の改良を行う。また、情報拡散データやオピニオン形成データからの知識発見など、各種応用の提案を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果を国内の研究会および国際会議で発表するための費用として使用する。また、実データを収集するための費用にも使用する。
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