研究課題
本年度は気づきに基づく個別適応型推薦システムの構築と評価を行った.ユーザの興味範囲の大小でユーザ特性を推定し,ユーザ特性にあわせた観光情報を含むプランを提示するシステムを構築し,推薦プランの閲覧率向上を評価する被験者実験を行った.具体的にはまずユーザのプラン閲覧に対する興味の刺激を目的として,これまで作成した旅行プラン推薦システムに,ユーザが閲覧中のプランに含まれる都市の観光情報提示機能を追加した.次に観光情報を6種の観光属性(泊まる,見る,遊ぶ,食べる,買う,温泉)で分類し,予備実験で6つの観光属性に対する被験者の興味のある属性数によって,観光属性を人気の上位3属性と下位3属性とに分けると共に,被験者をベビーユーザ(仮)(5属性以上),ライトユーザ(仮)(4属性以下)に仮分類した後,観光プラン推薦システムによる好みのプラン決定タスクの被験者実験でプラン閲覧率の評価を行った.実験結果から閲覧プランに対する観光情報提示方法で上位3属性のみの観光情報提示グループ1では,8名中7名が閲覧率70%以上,8名の平均閲覧率が88.5%となったのに対し,不人気3属性条件と全6属性条件での観光情報提示グループ2では,8名中3名が閲覧率70%以上,8名の平均閲覧率が66.2%であった.t検定の結果, 上述の2グループ間での平均閲覧率はp=0.09で有意傾向があった.本研究の意義は,対話的推薦システムにおける閲覧率の短期的向上だけでなく,ユーザの真の選好を見出す支援を目指した点である.総合評価として提案手法で短期的な閲覧率の改善ができたが,残された課題として長期的に閲覧率を向上させ,真の選好に到達するには,各ユーザの興味範囲を広げる必要がある.そこでユーザの気づきプロセスのモデル化および気づきスキルの支援方法の検討を行なった.以上の成果を国内外の会議およびbook in chapter paperとして発表した.
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電子情報通信学会誌
巻: Vol. J97-A, No. 6 ページ: to appear
人工知能学会論文誌
巻: Vol.28,No.2 ページ: 210-219
10.1527/tjsai.28.210
SICE Journal of Control, Measurement, and System Integration (JCMSI)
巻: Vol. 6, No. 2 ページ: 117-123
10.9746/jcmsi.6.117