研究課題/領域番号 |
23500199
|
研究機関 | 独立行政法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
岩爪 道昭 独立行政法人情報通信研究機構, ユニバーサルコミュニケーション研究所, 統括 (80319756)
|
研究分担者 |
兼岩 憲 岩手大学, 工学部, 准教授 (00342626)
小林 一郎 お茶の水女子大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (60281440)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | セマンティック・ウェブ / オントロジー / Linked Data / 分散データストア / ビッグデータ |
研究概要 |
スケーラブルなセマンティックサービス基盤技術の実現に向けて、平成23年度は、現在急速に増加、流通しつつあるLinked Dataに焦点を当て研究に取り組んだ。(1)大規模意味資源のサービス指向モデリングに関しては、現実世界における事象や行為の発生や状態の変化を扱うためにイベントデータの形式的モデリング手法について基礎検討を行った。特に、イベントが含む多様な情報を記述してデータ化することを目的に,イベントの構成物,意味機能,およびイベント間の関係による3つの意味的視点から新しいイベントタイプの分類を行い、ソート階層(概念階層) を用いたイベントオントロジーの定式化を試みた。(2)スケーラブルなサービス疎結合技術については、意味的なLink情報を介したサービス間の関係性の発見および連携手法を実現するため、まずは意味的データの収集・蓄積手法に着手した。具体的には、Javaバーチャルマシン上でスケーラブルに動作する分散仮想クローラーとそれらを蓄積・検索可能とする分散データストアを4ノード、8コアからなる小規模なPCクラスタ上で試作した。また、DBPediaのデータセットページをシードとして17,163トリプルを収集し、これを元に5億トリプルの疑似データを生成し、分散データストアに適用することで実効的な時間でスケールできることを確認した。さらに、収集したLinked Dataに対してHITSアルゴリズムによるリンク解析を行うことで、意味的情報を拡張する手法を開発し、意味的サービス間の連携への適用可能性を確認した。(3)トランススケールなサービスモニタリング技術については、サービス品質評価・可視化技術について取り扱う最新の研究動向の調査を行い、特に近年注目されているビッグデータの観点から、大量の意味的情報を集約的に可視化、モニタリングする手法の必要性を確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在普及が進みつつあるLinked Dataと実世界のイベントの意味な取扱いに戦略的に研究の焦点を絞り込むことで、初年度から査読付き論文に3件採択・掲載されるなど、順調に成果が出始めている。
|
今後の研究の推進方策 |
サイバー・フィジカルシステム実現により寄与するためには、平成24年度は、Linked Dataにとどまらず、近年その活用が期待されているビッグデータ全般に対応できるだけのスケーラビリティを持つ意味的基盤技術の研究に焦点を当てていく予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、すでに2件の論文について国際会議(国外)発表を予定している他、査読付き論文1本投稿中である。また平成24年度人工知能学会全国大会においてオーガナイズドセッション「ビッグ―データとAI技術」と同学会誌にてビッグデータに関する特集を企画しており研究代表者を中心に複数の解説論文を寄稿予定である。今年度の研究費は、これらの研究活動に充てるとともに、より大規模な環境における基盤技術の研究開発と実証検証のための作業にかかる謝金等に充てる予定である。
|