研究課題
初年度は、医用画像内の主要な解剖構造の間に存在する空間的関係を記述した空間的統計モデルを構築した.具体的には,解剖構造をマークしたラベル画像間の空間的隣接関係を表す特徴量を定義して計測し,その統計分布のモデル化を行った.次に,そのモデルを利用して,複数の構造物を同時抽出可能な新しいセグメンテーションアルゴリズムを考案した.また,実画像を用いた評価実験を実施し,アルゴリズムの有効性を確認した.二年目には、時空間の新しい統計モデルを提案した.このモデルは,条件付モデルの一種であるが,条件による制約を緩和できる点と,その緩和を学習データの誤差モデルに基づいて自動的に行う点が従来とは異なる.このモデルを用いて複数の組織の形と位置のモデル化を行い,実際の画像を用いてその有効性を検証した.さらに,モデルを用いて画像内の解剖構造を予測し,その予測結果に基づいて画像から複数の構造物を同時抽出するアルゴリズムの改良も行い,従来よりも精度良く抽出できることを確認した.その他,人体内の層状構造物に注目した研究も進め、層間の関係を考慮しながら,精度良く認識を行うアルゴリズムを提案し,実画像を用いた実験により有効性を示した.最終年度には、大量の画像統計データベースを構築し、それを用いて解剖と異常部位の同時認識を行うアルゴリズムを開発した。具体的には、異なる時間と空間で撮影された多様な症例画像を多数の部分画像に分解し、様々な特徴の部分画像を含む画像統計データベースを構築した。次に、Sparse ModelingとMulti-Atlas法を用いて、特定の時空間で撮影された未知症例の臓器認識を行った。ここで、従来の方法とは異なり、正常解剖のみならず、異常部位も同時に認識可能な新しいアルゴリズムを考案した。また、これらのアルゴリズムを実際の画像に適用し、有効性を確認した。
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Medical Image Analysis
巻: 18 ページ: 130-143
10.1016/j.media.2013.10.00
IEICE TRANSACTIONS on INF. & SYST.,
巻: 97-D ページ: 951-963
DOI:10.1587/transinf.E97.D.951