研究課題/領域番号 |
23500206
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
富岡 洋一 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10574072)
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研究分担者 |
北澤 仁志 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60345329)
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キーワード | 監視ロボット / 協調巡回経路 |
研究概要 |
本研究では安心・安全な社会の実現に向けた監視システムの性能向上に大きく貢献すべく,複数台の監視ロボットが協調して巡回監視を行うための巡回経路探索手法の確立を目的としている.平成24年度は,全領域と移動物体の定期的な観測を実現するための複数台監視ロボットの協調巡回路探索手法を開発した.平成23年度までに取り組んだ巡回経路探索手法では、全領域の定期的な監視を効率的に実現できるが,意図的に監視ロボットを避けて移動する物体を長時間観測できない恐れがあった.一方、本手法ではいかなる移動物体も監視をすり抜けて移動することができないように複数台の監視ロボットが協調して巡回する経路とスケジュールを決定できる.本手法は混合整数計画法に基づいており,未観測の移動物体が存在しないグリッドを減少させないように監視ロボットの動きを制限しつつ,監視ロボットが搭載するカメラの視野距離と視野角度の下,協調巡回を実現するために必要な最小の監視ロボットの台数とその最適な巡回経路を決定できる. 混合整数計画法を用いて監視ロボットの協調巡回を定式化するためには,各監視ロボットが各辺を通過する時刻を表現する必要があり,時刻毎,辺毎にその辺を通過するか否かを表現する変数を用いることが考えられるが,この定式化では巡回周期に依存して膨大な変数が必要となる.一方,我々は,各辺に監視ロボットがその辺を通過する時刻を表現するラベルを割り当て,監視周期に依存しない,効率的な定式化を提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目標は複数台の監視ロボットが協調して巡回監視を行うための巡回経路探索手法の確立である.平成24年度はいかなる移動物体も定期的に観測できる複数台監視ロボットの協調巡回経路の探索手法を確立した.本手法はIEEE International Conference on Multimedia and Expo 2013において、上位12.7パーセントのみが選ばれる口頭発表として採択されており,その有効性を認められている.また,平成25年度の研究では研究計画に従い,これまでに開発した協調巡回経路探索手法を拡張し,充電ステーションの配置の最適な配置と監視ロボットの経路を決定する手法の開発に取り組む予定であり,本研究は概ね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度はこれまでに開発した協調巡回経路探索手法を拡張し,充電ステーション(ドッグ)や監視カメラの最適配置と最適協調巡回経路の探索手法に取り組む. 監視ロボットが継続して監視を行うためには,充電ステーションを設置し,定期的に監視ロボットが充電を行うか電池を交換する必要がある.このため,監視ロボットが充電無しに稼働可能な時間と充電又は電池交換に必要な時間が与えられたときに,必要な充電ドックの最小数とその最適配置を求める手法を確立する.また,監視ロボットが充電ステーションで充電しているときには,巡回監視を行う監視ロボット台数が減ってしまい監視周期が悪化してしまう.一方で,充電中の監視ロボットも近傍領域を監視することが可能である.このことから,監視周期の悪化をできる限り削減できる充電ステーションの配置手法について検討する. 提案の監視ロボットによる巡回監視は,全領域を柔軟かつ効率的に監視することが可能であるが,建物の出入り口など固定監視カメラによる監視が必要な場所も存在する.また,固定監視カメラによる自動解析技術は移動カメラにおける解析技術よりも進んでおり,監視システムの信頼性向上のためには固定監視カメラと監視ロボットを組み合わせて用いることが望ましい.このため,全領域と移動物体の定期的な監視を実現するための固定監視カメラの最適配置と監視ロボットの経路を同時に決定する手法の開発に取り組む.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費はこれまでに開発した経路探索手法のデモ用ラップトップPC,シミュレーション用の計算機の購入,プログラム作成・デバッグの謝金,研究成果発表のための旅費・論文投稿料として使用する.また,平成24年度の成果である複数台監視ロボットによる協調巡回経路探索手法については,平成25年7月に発表予定であるため平成24年度に予定していた旅費を平成25年度に使用する.
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