研究課題/領域番号 |
23500207
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
三好 正人 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (40396205)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | マイクロホンアレイ / 指向性収音 / 音源方向推定 / 音声の変調周波数分析 / スペクトル減算 / 音声の明瞭性 |
研究概要 |
講演音声の高品質自動アーカイブ化に資する収録システム技術の確立に向け,今年度は該システム技術を構成する次の3要素技術を検討し,ほぼ計画通りの進捗を果たした.1. スポットライト収音 講演者移動を追跡し音声を高SN比収音し続ける指向性収音技術を検討した.講演音声収音音量を該音声とは高さの異なる不要音(聴衆雑言,環境雑音)より大きく保つ縦型のマイク・アレイを左右に複数組配列する事で,コーン形状の(スポットライトの様な)指向特性を得るとともに,不要音耐性に優れた講演者方向推定の実現可能性を示した.成果は金沢大学修士論文等に整理した.2. 音声信号回復処理 収音音声(1-ch)の変調スペクトル分析から得られる音声調波構造を元に,音声に重畳した白色性雑音をスペクトル減算する方法に係る検討を進めた.音声スペクトルを対象に雑音減算処理を行う従来技術に比べ,ミュージカルノイズと呼ばれる不快な人工音の発生が大幅に押さえられる事を先行研究の追試,及び本検討独自技術により確認した.成果は応用音響研究会発表論文や金沢大学修士論文等に整理した.3. 音声信号強調処理 発声方法が音声明瞭性に及ぼす影響を評価した.先行研究で抽出された音響的特徴のうち,特に,声の高さの変動幅と3kHz付近の顕著なスペクトルピーク成分が明瞭性に強く影響する事を確認した.これら特徴量の信号処理的操作により,発声方法に起因する音声明瞭性の改善を果たす事が出来るものと期待される.成果は金沢大学修士論文他に整理した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
講演音声の高品質自動アーカイブ化に資する収録システム技術を構成する3つの要素技術―スポットライト収音,音声信号回復処理,及び音声強調信号処理―夫々の基礎的検討を進めた.「9.研究実績の概要」に報告した通り,要素技術毎に有用な成果を得た.ほぼ計画した通りの進捗であった.
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今後の研究の推進方策 |
今年度に引き続き,「9.研究実績の概要」に記載した各要素技術の検討を進める.検討技術の計算原理確認,アルゴリズム実装,及び性能評価を着実に遂行すると共に,タイムリーな外部発表に努める.要素技術毎の主要課題は次の通り:1.スポットライト収音 マイクロホンアレイの製作と同装置を用いる指向性収音性能の評価2.音声回復信号処理 雑音低減性能の向上,及び残響歪低減への拡張3.音声強調信号処理 音声特徴量操作による音声明瞭性改善アルゴリズムの実装と評価
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次年度の研究費の使用計画 |
38,725/1,300,000(円)の研究費を残した.購入を意図した物品(マイクロホン)の在庫が無く調達出来なかった為,当該予算を次年度購入予定機材の購入に振り替えた結果の差額である.残額は次年度予算に合算し,上記今年度購入希望品(代替品)の早期購入に充てる(研究遂行上の支障が無い様に配慮する).
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