研究課題/領域番号 |
23500211
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
栗田 多喜夫 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10356941)
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研究分担者 |
日高 章理 東京電機大学, 理工学部, 助教 (70553519)
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キーワード | 判別カーネル / 事後確率 / カーネル学習 / 判別分析 / 画像認識 / サポートベクターマシン |
研究概要 |
本研究では、究極の非線形判別分析から示唆される「確率的証拠を統合する構造」を元に、(1)判別カーネルを利用した変動等に頑健で実用的なパターン認識器の構成法の開発、(2)確率的証拠の統合による画像認識手法の開発等を目指している。 判別基準を最大とする究極の非線形判別写像に現れるカーネルは、事後確率から計算されるカーネル(判別カーネル)となる。このカーネルは、クラスに関する情報を含んでおり、判別基準を最大とする判別写像の意味で最適なカーネルである。 実際の応用では、訓練サンプルから事後確率を推定する必要があり、これまでに線形回帰を用いて事後確率を推定する手法、各クラスが正規分布に従うと仮定して事後確率を推定する手法、ロジスティック回帰で事後確率を推定する手法、サポートベクターマシンで事後確率を推定する手法等の手法を開発してきた。得られた判別カーネルを用いた識別器の識別性能を向上させるためには、この事後確率の推定の未学習サンプルに対する性能(汎化性能)を向上させることが重要である。そこで、本年度は、線形回帰による事後確率の推定、および、ロジスティック回帰による事後確率の推定に正則化を導入する手法について検討し、実験的に性能を評価した。これらの成果の一部については、国際会議等で発表した。 画像認識に関しては、歩行者の検出で高い性能を示したことで広く利用されるようになったHistgrams of Oriented Gradients (HOG)特徴の局所特徴の抽出にBag of Featuresの考え方を取り入れる方法を開発し、評価実験を通して、歩行者の検出性能が向上することを確認した。 その他、車両検出やマーケティングへの応用を目指した人物属性推定や人間の感じる画像の複雑度の推定等の成果についても論文誌や国際会議で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、判別カーネルを利用したパターン認識器の構成法に関して、各クラスの分布に正規分布を仮定する方法を用いて事後確率を推定し、それから判別カーネルを構成する手法について検討した。これらの判別カーネルを用いた判別分析の性能を標準データを用いて評価する実験を行った。また、サポートベクターマシンを利用して、訓練データから事後確率を推定し、それを判別カーネルに利用する方法についても検討した。さらに、これらをサポートベクターマシンのカーネルとして利用する手法についても検討し、評価実験を行った。本年度は、事後確率の推定の未学習データに対する性能を向上させるために正則化を取り入れる手法について検討した。具体的には、線形回帰による事後確率の推定、および、ロジスティック回帰による事後確率の推定に正則化を導入する手法について検討し、実験的に性能を評価した。これらは、当初の計画通りの成果である。 確率的知識の統合による画像認識については、局所特徴とクラスとの関係を要約した事後確率画像を構成し、そこから高次局所自己相関特徴を抽出して利用する一般物体認識手法を開発し、それが現在広く利用されている Bag of Features法よりも高い性能であることを示し、その結果を論文誌に発表した。また、歩行者検出において、HOG特徴をBag of Featuresの考え方を取り入れて改良する手法を開発した。これらについてもほぼ当初の計画通りの進捗である。
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今後の研究の推進方策 |
判別カーネルの構成法に関して、各クラスを混合ガウスモデルで近似することで事後確率を推定する方法、K-近傍法で事後確率を推定する方法、カーネル法で事後確率を推定する方法等について検討し、このアプローチの有効性を確認する。 画像認識では位置や大きさの変化等の変動に対して頑健な識別器を構成することが重要であるので、変動の影響を受けにくいような工夫を導入した距離を利用して、K-近傍法で事後確率を推定し、その推定値から判別カーネルを構成する手法についても検討する。 その他、画像検索や画像アノテーションへの応用を目指した正準相関分析の拡張についても検討を開始する。画像検索や画像アノテーションでは、画像特徴と画像に付けられた単語との関係性を学習することが重要であるが、単語情報は離散的なシンボルであり正規分布を仮定できない。そこで、ロジスティック判別分析と同様のアプローチで、画像特徴と単語情報等の離散的なシンボルを自然に扱えるように正準相関分析を非線形に拡張する方法を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、国際会議(SMC2012、ソウル)、および、広島で開催された国際会議(SPPRA2012)の旅費と学会参加費を本研究費から支出した。開催地が近いため予定していた旅費等の費用が少なくて済んだ。また、共同研究者との打ち合わせを主にテレビ会議で行い、研究打ち合わせのため旅費の支出を抑えた。それらの残額を次年度使用額とした。 次年度は、国際会議(SMC2013、マンチェスター)への参加を計画しており、残額はそのために利用する予定である。その他の使用計画については、当初の計画通りである。
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