研究課題/領域番号 |
23500214
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
原 健二 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (50380712)
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研究分担者 |
浦濱 喜一 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (10150492)
井上 光平 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 助教 (70325570)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | Oren-Nayarモデル / log-sum-exponential / 形状復元 / 反射特性推定 |
研究概要 |
Oren-Nayarモデルは,現在のところ最も実測に忠実かつ正確な拡散反射モデルとして知られ,この拡散反射モデルを用いることで,やや不正確なLambertianモデルに基づく形状復元や反射特性推定の既存手法に対し,大幅な改善が期待できる.しかし,Oren-NayarモデルのBRDFは,光源方向や法線方向に関して微分不可能な最大値関数を含んでおり,光学的な画像解析に対しては必ずしも適しているとはいえなかった. そこで,本年度はこのOren-Nayarモデルの微分可能近似の導出を試みた.具体的には,Oren-NayarモデルのBRDFに現れる最大値関数の微分可能近似の候補の各々についてシミュレーション実験を行った.その結果,変域の広さや数値的安定性,近似精度の観点から,最大値関数の微分可能近似の最適なものとして,LSI設計や経済学といった分野に広く利用されているlog-sum-exponential (以下,LSE)と呼ばれるものを採用し,このLSE関数を用いて微分可能近似されたOren-Nayarモデルを解析的Oren-Nayarモデルと呼ぶこととした.さらに,この解析的Oren-Nayarモデルと元のOren-Nayarモデルの間の誤差や解析的Oren-Nayarモデルに付随する制御パラメータが解析的Oren-Nayarモデルに及ぼす影響について実験・考察を行った.その結果,近似精度や数値的安定性の点で適切な制御パラメータの値の範囲を特定するとともに,この解析的Oren-Nayarモデルの形状復元及び反射特性推定の諸問題に対する適用可能性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の目標のひとつである解析的Oren-Nayarモデルの導出についてはほぼ完了している一方で,もうひとつの目標である,光源・視点方向や入力画像枚数などに関する適用条件を明確化する作業についてはまだ終了していないため.
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今後の研究の推進方策 |
光源方向が異なる複数枚の画像を入力して,解析的Oren-Nayarモデルの下において,反射パラメータと物体の幾何形状を同時推定する手法を開発していく.具体的には,光源方向が異なる複数枚の単一平行光源下の画像列から,物体表面に対応する各画素ごとに,照度方程式に基づく二乗誤差の全入力画像に関する総和を,法線ベクトル,アルビド,表面粗さを変数として最小化する非線形最適化問題として定式化し,解析的Oren-NayarモデルのBRDFの光源方向・法線方向に関する微分値を用いて,この最適化問題を勾配法などの微分最適化手法を用いて解くという方針で形状復元問題に対処する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度以降,シミュレーションと実データを用いた実験を行っていくため,3次元データ処理のための専用ハードウェア/ソフトウェアを購入する予定である.また,その実験の結果として解析的Oren-Nayarモデルに基づく形状復元手法の有効性が確認され次第,当該成果の対外発表を行う予定であるため,学会参加費や旅費等を使用する.
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