研究課題/領域番号 |
23500216
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩下 友美 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (70467877)
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研究分担者 |
倉爪 亮 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (70272672)
諸岡 健一 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (80323806)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 歩容認証 / 影生体情報 / 赤外線 |
研究概要 |
本研究では,建物へのアクセス認証や屋内におけるセキュリティシステムにおいて,被認証者の負担の無い個人認証を実現するために,複数台の不可視光源により地面に投影された歩行者の影領域を用いた,個人認証システムの開発を目的とする.本システムでは,認証を行っていることを被認証者に意識させないために,通常のライトと同様に複数台の赤外線ライトを天井に設置し,また地面に対して垂直に画像を撮影するように,単一カメラを天井に埋め込み設置する.またこのシステムでは,地面に投影された被認証者の" 影"は,光源を視点として疑似的に撮影された画像であると考え,単一カメラにより撮影された歩行者の複数の影領域を用いることで,高い識別性能を実現できる.本年度の実績は,次の通りである.(i) これまでに赤外線を用いた影画像データベースは構築されていないため,28名の被験者から構成される影画像データベースを構築した.(ii) 赤外線画像から対象人物の複数の影領域の抽出し,それぞれの領域を分離した.(iii) 抽出された領域から見えに基づく個人識別実験を行った.実験の結果,複数の影領域を組み合わせることで,95%の高い識別率で個人識別が可能であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度ではまず,人間には不可視な光源である,赤外線ライトを用いることで,被験者の負担の無い個人識別のための影画像撮影システムを構築した.また,世界初となる赤外線を用いた影画像データベースを構築した.次に,対象人物の見えに基づいた個人識別実験を行い,赤外線による影画像により個人識別が可能であることを示した.さらに,複数の影領域を組み合わせることで,95%の高い個人識別率を達成できることを示した.
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に構築したデータベースでは,対象人物の衣服は同一のものであった.そこで平成24年度では,異なる衣服を着用した歩行者の影画像データベースの収集を行う.また,対象人物の衣服がデータベースのそれと異なる場合,対象人物の見えが変化するため,識別率は一般的に低下してしまう.この問題に対応するために,対象人物の見えの変化に頑強な歩容による個人識別手法の開発を行う.具体的には,まず対象人物の体領域を抽出して,体領域の中心から同心円状に影領域を分割する.次にそれぞれの分割領域において,歩行特徴を計算する.これと標準的な歩行画像列から得られた全ての人物の歩行特徴データベースとを比較し,歩行特徴の類似度に応じて,各領域の重みを計算する.その後,全領域の類似度の重み付き統合を行い,個人識別を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
データ保存用RAIDを購入する.また,国内・国際会議への参加のために,旅費として使用する.さらに,学会参加費,また論文誌の掲載料などとして使用する.その他,小額備品として使用する.
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