研究課題/領域番号 |
23500216
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩下 友美 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (70467877)
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研究分担者 |
倉爪 亮 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (70272672)
諸岡 健一 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (80323806)
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キーワード | 人物識別 / 歩容 / 影生体情報 / 赤外線 |
研究概要 |
本研究では,建物へのアクセス認証や屋内におけるセキュリティシステムにおいて,被認証者の負担の無い個人認証を実現するために,複数台の不可視光源により地面に投影された歩行者の影領域を用いた,個人認証システムの開発を目的とする.本システムでは,認証を行っていることを被認証者に意識させないために,通常のライトと同様に複数台の赤外線ライトを天井に設置し,また地面に対して垂直に画像を撮影するように,単一カメラを天井に埋め込み設置する.またこのシステムでは,地面に投影された被認証者の“ 影”は,光源を視点として疑似的に撮影された画像であると考え,単一カメラにより撮影された歩行者の複数の影領域を用いることで,高い識別性能を実現できる. 前年度では,対象人物の衣服の変化による,対象人物の見えの変化に対するデータベース,および手法を開発していなかった.これに対し,本年度の実績は次の通りである.(i) 見えの変化を6通り(バックパック、ハンドバッグ、ブリーフケース、白衣、ダウンジャケット、ロングコート)を含む,影画像データベースを構築した.また本年度のデータベースは前年度のほぼ2倍に相当する54名からなる.(ii) これまでに開発した見えの変化に頑強な個人識別手法を適用し,衣服の変化の場合にはおよそ70%, かばんの変化の場合には91%の識別率で個人識別が可能であることを確認した.従来手法を用いた場合では,衣服の場合はおよそ30%,かばんの場合はおよそ65%の識別率であることから,従来手法と比較して提案手法は識別率の向上を実現することができた. また,信学技報における本研究の発表「複数の赤外線ライトによる影を用いた歩容による個人識別」は,2011年度 PRMU研究奨励賞 受賞した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度ではまず,世界初となる,見えの変化を6通り(バックパック、ハンドバッグ、ブリーフケース、白衣、ダウンジャケット、ロングコート)を含む影画像データベースを構築した.このデータベースは前年度のほぼ2倍に相当する54名からなる.次に,これまでに開発した見えの変化に頑強な個人識別手法を適用し,衣服の変化の場合にはおよそ70%, かばんの変化の場合には91%の識別率で個人識別が可能であることを確認した.従来手法を用いた場合では,衣服の場合はおよそ30%,かばんの場合はおよそ65%の識別率であることから,従来手法と比較して提案手法は識別率の向上を実現することができた. また,信学技報における本研究の発表「複数の赤外線ライトによる影を用いた歩容による個人識別」は,2011年度 PRMU研究奨励賞 受賞した. 以上より,研究計画の通りの進捗状況である.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発済の統計的形状モデル・統計的歩行動作モデルを使用して,撮影された歩行者の2次元画像から,対象人物の3次元形状・動作を推定する手法を開発する.統計的形状モデルはそれぞれ平均形状モデルと数個のパラメータ,また統計的歩行動作モデルは平均歩行動作モデルと数個のパラメータから構成されている.歩行者の撮影画像に対してこれらの平均モデルを当てはめ,誤差が小さくなるようにパラメータを推定することで,歩行者の形状・動作を推定する予定である.推定された形状・動作をもとに歩容特徴を抽出し,歩行方向の変化に頑強な個人識別を実現する.
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次年度の研究費の使用計画 |
最終年度であるため,主に研究成果発表のために使用する予定である.具体的には,国内会議,国際会議への参加のための費用,また論文誌投稿のための英文添削・投稿料・別刷り代のために使用する.
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