研究課題/領域番号 |
23500221
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研究機関 | 会津大学 |
研究代表者 |
JUNG‐PIL Shin 会津大学, コンピュータ理工学部, 上級准教授 (40315677)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 筆記モデル / 署名検証 / 毛筆文字 |
研究概要 |
手書き文字合成は人間の手書きの文字を人工的に生成することに関する研究である。 この研究は音声合成とは違って大衆的に広く知られてはいないが、最近筆記認識分野で関心を受けている研究主題の中の一つである。手書き文字合成は人間の行為を模倣するという側面では音声合成と類似の側面があるが、その目的においては大きな差がある。音声は人の声と似ているほどより一層聞きやすいが、文字は機械的で整った文字が人の手書き文字に比べてより一層読みやすいためである。手書き文字合成の目的は3種類と考えられる。 まず、人間の筆記の行為をより一層よく理解すること。2番目、生成された筆記文字を既存のコンピュータフォントの代わりに活用すること。 3番目、生成された文字を活用してコンピュータ文字認識のシステムの性能を向上させることである。1番目の目的のために多くの研究者によって多様な人間の筆記体モデルが提示されてきた。こういうモデルはどれくらい正確に本来の手書きの形を反映するかを基準として評価される。2番目の目的は一番目の目的に比べてより実用的である。自分自身の個性と特徴をオンライン上で、あるいは文書上でより直接的に表現できることになる。最後に、コンピュータで筆記文字を分析/認識するためには多様な筆記体文字のパターンが必要であるが、文字合成はこれを難なく獲得することを目的とする。筆記モデルの精密度向上、文字合成を通した署名検証の性能向上、毛筆文字の合成が可能な筆記モデルの開発という3つの大目標で当該年度で達成した具体的な目標は次のとおりである。筆記モデルの精密度向上のために1.一文字内で画(ストローク)間連結形態が互いに違う文字のためのモデルを開発した。2.原本の筆記速度を合成された文字でも維持するためのモデルを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
筆記モデルの精密度向上、文字合成を通した署名検証の性能向上、毛筆文字の合成が可能な筆記モデルの開発という3つの大目標で当該年度で達成した具体的な目標は次のとおりである。筆記モデルの精密度向上のために1.一文字内で画(ストローク)間連結形態が互いに違う文字のためのモデルを開発した。2.原本の筆記速度を合成された文字でも維持するためのモデルを開発したので、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
既存の研究は筆記された文字のモデリング、文字の間のやわらかい連結、2~3個の筆記スタイルの合成、多様なスタイルの生成などで有効・有益な結果を出したが、同時に次のような共通の問題点を持っている。1.いくつかの筆記スタイルを一つのモデルで表現できない。 2.原本のスタイルを維持しながら多様な筆記体文字を生成することに対する研究は報告されたことがない。3.文字の生成はペン書きの形状のみを対象にして行っている。これらの問題のため、本研究チームはこの3年間1番目と2番目の問題点を克服するための研究を行い、その結果最近いくつかの筆記スタイルを一つのモデルで表現して、そのモデルを使って原本のスタイルと似ている他の文字を段階的に合成することに成功した。本研究チームは今回の課題を通じて3種類の目標を達成しようとする。第1に筆記モデルが個人の筆記スタイルをより正確に現わすようにすること、2番目で向上した筆記モデルを通じて署名を合成して、合成された署名を署名検証システムのための訓練パターンに適用することである。文字合成を通じて多数の訓練用文字を生成することで文字認識精度を高めようとする試みは多くあったが、文字合成が署名認証に適用された例はなかった。本研究チームはすでに2番目の問題点を克服したので、開発された筆記モデルの精密度を向上させる研究を通じて署名検証に適用可能な訓練用パターンを合成できると考えられる。3番目の目標は毛筆の文字の合成を可能にすることである。本研究チームは文字合成の他にもペンタブレットを利用するデジタル書道システムに対しても研究してきた経験がある。これを活用してペン書きの形状だけでなく毛筆の文字の合成のためのモデルの開発を目標にする。
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次年度の研究費の使用計画 |
「筆記モデルの精度向上(単一連結形態)」及び「画(ストローク)の連結形態が互いに異なる文字のためのモデル開発」に取り組む予定であったが、「筆記モデルの精度向上(単一連結形態)」までしか進まなかったため、研究費に繰越が生じた。当該額は、次年度の研究費と合わせて、次の目的に使用する。画(ストローク)の連結形態が互いに異なる文字のためのモデル開発及び手書き文字合成を利用した署名検証の性能向上を試みる。署名5個を訓練パターンで使用時、現在5%程度の署名検証エラー率を署名10個の訓練パターンで使用時のエラー率を3%水準に下げる。1.合成された文字を使って署名検証実験を遂行して結果を分析する。2.合成された文字の変移性を向上させて署名検証の性能を高める。3.合成された文字を訓練パターンで使う方法を改善する。
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