研究課題
平成25年度は、研究実施計画において予定していた“誤り訂正符号を利用した音質改善手法”および“音質改善の測定”に関する研究を実施した。電子透かしの抽出がすべて正しく行うことができずに一部に抽出誤りが生じたとしても、誤り訂正符号を用いることにより、これらの抽出誤りを訂正することができる。誤り訂正符号を利用した音質改善手法に関する研究では、この性質を積極的に利用し、電子透かしの埋め込みを行うことにより元の音楽信号の音質が著しく劣化する恐れのある部分を事前に推定し、当該箇所には意図的に透かし情報の埋め込みを行わない事で音質の劣化を回避する手法の開発を行ない、誤り訂正符号の訂正能力を利用した音質改善を図った。さらに、本手法の効果を評価するために音質改善の測定を実施し、誤り訂正符号を利用した音質改善手法を導入することで埋め込み処理後の楽曲の音質が向上することを確認した(5段階音質評価で従来法2.9点から本手法4.7点へ音質向上)。なお、平成25年度は上述の研究成果について、学術論文1件、国際会議プロシーディング4件および国内学会発表5件を通じて広く一般に公開した。我々が提案している多層型音楽電子透かし手法は、透かし情報の埋め込み処理を多層化(多重化)することにより埋め込み容量の増大が実現可能である。しかしながら、多重化に応じて埋め込み処理による音質劣化が知覚されやすくなるという課題もある。平成23・24年度に実施した“多層型音楽電子透かし手法の実装 および 音質劣化の測定”、“整合窓関数の最適化 および 音質改善の測定”による研究成果、および、平成25年度に実施した上述の研究成果により、埋め込み処理に起因する音質劣化が軽減可能であることが確認でき、埋め込み容量と音質との両立が可能となることから、本研究により得られた成果の意義は大きい。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
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